■不憫な若者に気を配る世話焼な一面も?

 ミライに対する「婿さんの面倒をみさしてくれ」というゴップの発言も、ハラスメントに思える一方、彼女の父親とゴップの関係性を考えると致し方ない面もある。ミライの父であるシュウ・ヤシマは地球連邦政府の元高官であり、ゴップとは親交があったのだ。

 ミライの父親は戦死して後ろ盾がない状態であり、おそらくゴップの発言に他意はなく、昔から知っている良家の愛娘に対する思いやりの意味を含んでいたと考えられる。

 ちなみにArk Performanceによる人気漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』(KADOKAWA)では、ゴップが強化人間の少女・イングリッド0を養子に迎え、絶妙な親子関係を築いている様子が描かれている。

 同作で描かれたゴップも、娘のイングリッドを嫁入りまで面倒をみることを本人に明かしており、単純に未来ある若者の行く末を案じる、世話焼な性格だったのかもしれない。

■一年戦争後の躍進と活躍

 ゴップはレビル将軍亡き後の終戦協定で活躍し、戦後は政治家に転身。たくみに政争をくぐり抜け、議会における最大派閥の長にまで上り詰めている。そのあたりまで踏まえると、彼は無能どころか軍人としても政治家としても、とびきり優秀な人物というのが、より真実に近いように思える。

 レビル将軍は、前線に出ないでジャブローにこもっている「モグラ」と揶揄したが、もしかするとレビルですらゴップの本質を見抜けていなかったのかもしれない。

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