■唐突に始まった野球大会『涼宮ハルヒの憂鬱』

 最後は、2000年代を代表するヒット作『涼宮ハルヒの憂鬱』を振り返る。平凡な高校生・キョンが謎の美少女・涼宮ハルヒに出会い、宇宙人・長門有希、未来人・朝比奈みくる、超能力者・古泉一樹らとともに「SOS団」として学園生活を送る姿を描く同作。野球回が描かれたのは、憂鬱編終了後の7話「涼宮ハルヒの退屈」だった。

 あるとき、ハルヒの一声でSOS団は市内の野球大会に参加することになった。嫌がるキョンをよそに張り切るハルヒは、1000本ノックの特訓を開始。野球部への仮入部経験もある運動神経抜群なハルヒは余裕だが、他のメンバーの運動神経は並かそれ以下なのでかなり大変そうだ。

 1番ピッチャーを務めるハルヒがオーダーをあみだくじで決め(キョンはハルヒの望みで4番セカンド)、優勝候補の上ヶ原パイレーツを相手にいざプレイボール。

 1回表の攻撃で打席に立ったハルヒは、いきなりヒットを飛ばす。しかし、いかんせん他のメンバーが弱いため攻撃が続くわけもない。さらに裏では、ハルヒがプロ並の球を投げるも、球筋を変えないために次々と打たれてしまう。

 これまでも無自覚のままに世界に超常現象を起こしてきたハルヒ。3回終了時点で0ー9の大差になると不機嫌がピークに達し、大規模な閉鎖空間を発生させてしまう。試合に負けていることはもちろん、キョンが冷たくしたからというのも理由な気がするが、いずれにせよあまりにも無茶苦茶だ。

 しかし古泉が機転を利かし、長門の能力を込めた「ホーミングモード」のバットにより全員がホームランを打ち始め点差が縮まっていく。そして迎えた最終回、ピッチャーになったキョンはこれまた長門補正で魔球を連発。もはや不正しかしていない状態だが、何とかハルヒの機嫌を損ねずに勝利し世界の平和は守られたのだった。

 試合後、キョンからの2回戦を辞退しようという提案を「あんたがそれでいいなら」と受け入れたハルヒ。いつも振り回されてしまうが、やっぱりこういった素直なハルヒはかわいらしい。試合のクライマックスではアニメ『タッチ』のオープニング曲を思わせるBGMが流れたりと、見どころたっぷりのエピソードだ。

 改めて振り返ってみてもとんでもない試合ばかりだが、今回の3作品をはじめ野球回はコミカルな展開になるパターンが多いため、本編とは一味違う楽しさを味わうことができる。そんなところも、野球回が人気を集めるポイントなのだろう。

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