■下級戦士にして高い洞察力と戦闘力

 サイヤ人としての能力も高く、下級戦士でありながらも、フリーザの思惑を推測するなどすぐれた洞察力を持っていたバーダック。盗聴を警戒してスカウターを使わないといった用心深さもあるところを見ると、下級戦士の中でも指折りの実力者と推測できる。

 実際、あのフリーザが「最後まで抵抗をしたあのサイヤ人」と彼の存在をしっかり記憶していることから考えても、バーダックが高い実力を持っているのは間違いない。しかし、鳥山さんは彼について「下級戦士としては上位にいますが中級戦士にはなれていません」と語っており、悟空のように規格外の存在だったわけではないと思われる。

 といっても、中級戦士は10人ほど、上級戦士はベジータ王とベジータ王子のみと考えると、下級戦士の中でトップなら十分強いはず。また戦闘時に何度も仲間の危機を救っているあたり、周りを見たりサポートしたりする余裕があるということだろう。

 強いだけでなく思慮深く、不器用ながらも優しいキャラとして描かれているバーダック。悟空のルーツという意味だけでなく、個人としても非常に魅力的な存在だ。

■声優は野沢雅子さんが担当!

 ちなみに、バーダックのアニメ声優は、初登場時から一貫して孫悟空・悟飯・悟天の声を担当した野沢雅子さんが務めている。この点もファンにとってはアツいポイントだろう。

 野沢さんは『ドラゴンボール超 ブロリー』でもバーダック役を担当しており、悟空との二役を演じた。本作公開にあたってのインタビューで、野沢さんはバーダック役について「みんな、血のつながりはありますから、そういう点では違和感もないのかなとは思います」と語り、自然と役に入り込めたと明かしていた。

 悟空と比べると、少し低めの声でクールに話す印象があるバーダック。ギネの前では少ししゃべり方がやわらかくなるのも微笑ましい。親子それぞれの性格が反映された演じ分けも、本作の見どころのひとつといえるだろう。

 

 バーダックはアニメを中心に原作やゲームにも登場し、高い人気を獲得してきた。息子である悟空とそっくりな外見で、彼と似ているところ、似ていないところがそれぞれ魅力的だ。

 彼だけで一つの作品ができてしまうのではないかと思ってしまうほど、強い印象を残すバーダック。彼に注目すると、『ドラゴンボール』の新たな魅力がわかるかもしれない。

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