■幅広い作風で読者の心を掴み続ける少女漫画家

 最後は、『ちゃお』で1991年から1994年まで連載していた『水色時代』のやぶうち優氏による魔法少女作品。

 『水色時代』は、思春期の体や心の変化を繊細に描いた作品でアニメ化もされ、小学生編から中学生編、以降も短大生になった主人公の姿が読み切りで描かれるなど、シリーズは長く続いた。

 そんなやぶうち氏が2010年から2012年まで手がけたのが、魔法学園を舞台にした漫画『まほちゅー!』。『ちゃお』では約11年ぶりの連載で、マホと呼ばれる特殊な能力を持つ主人公が同じく能力を持つ子どもたちが通う中学に通う話だ。

 やぶうち氏のすごさは青少年の心の揺らぎや体の発達など、センシティブな話題を繊細に盛り込む一方で、ギャグやファンタジーにも振り切った作品でヒットを飛ばせるところではないか。

 その作風には大人のファンや男性ファンも多く、現在は『上杉くんは女の子をやめたい』という、男子中学生が女の子の体に変身してしまうという物語を『ちゃおプラス』で連載中だ。

 やぶうち氏は作品や時代によって絵柄も大きく変えているのも特徴。SNSでは自身の絵柄の変遷を比較した「やぶうち優32年進化録」を投稿して話題になったことも。デビューから現在まで画業を続ける中、常に最先端の絵柄を追究し、少女読者を魅了し続けている。

 さて、『美少女戦士セーラームーン』の作者である武内氏は、同作の連載後にどんな作品を描いているかというと、1997年9月号から1997年12月号にかけての4号で発表された『ぴいきゅうエンジェルス』が印象深い。

 元来はゴキブリの姿のぴいなっつ(P)と、きゅうり(Q)という2人の主人公が行方不明の女王を探すという物語で、設定は突飛だが、『セーラームーン』同様、おしゃれな変身ものファンタジー漫画。単行本未発売のレア作品だ。

 意外なジャンルの作品も世に出している少女漫画家たち。ぜひ代表作以外の作品も読んでみよう。

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