
1975年4月に朝日放送テレビの制作で全国放送が開始され、長年日曜の昼間を彩ってきたクイズ番組『パネルクイズアタック25』が、今年で50周年を迎える。
「アタック25って終わったのでは?」という声もあるかもしれないが、番組は2021年9月に地上波での最終回を迎えた後、現在はBS10で『パネルクイズアタック25Next』として、これまでどおり日曜昼間に放送している。昭和、平成、令和と3つの時代に渡って放送を続けるクイズ番組は珍しく、しかも放送局を跨ぐ番組というのも例がない。まさに日本のクイズ史に欠かせない唯一無二の番組と言えるだろう。
筆者は長年に渡り、自称「アタック25研究家」として出題傾向の分析や考察などの情報をブログに掲載。数度の出場経験があり、トップ賞を獲得したこともあるが、この番組の魅力はなんといっても、正解数が多いだけでは勝つことができず、パネルの取り方の戦略や、運などが複雑に絡む点にある。
そのため、実力では明らかに下に思えた解答者がジャイアントキリングを起こすこともあり、思いもよらない展開が最後まで目を離せない番組作りにつながっていた。
■初めてのゲーム化「PS版」アタック25
これほどの魅力があるクイズ番組なのだから、当然クイズゲームとしても発売されている。今回は実際の番組をリアルに再現したクイズゲーム『パネルクイズアタック25』について振り返っていきたい。
クイズゲームといえば、爆発的ヒット作こそないものの、気軽にプレイしやすいということもあり、昔からゲームセンターなどでも人気のジャンルであった。また1991年のファミコン用ソフト『アメリカ横断ウルトラクイズ 史上最大の戦い』や、PCエンジンSUPER CD-ROM2用ソフト『クイズキャラバンカルトQ』、1998年のプレイステーション用ソフト『マジカル頭脳パワー!! PARTY SELECTION』などなど、人気クイズ番組も多数ゲーム化されてきた。
『アタック25』が初めてゲーム化されたのは意外と遅く、1997年にプレイステーションで『パネルクイズアタック25』(富士通パソコンシステムズ)が発売されたのが最初である。
このゲームの特徴といえば、なんといってもその再現度の凄さに尽きる。
これまでのクイズゲームといえば、早押し形式とはいえ、画面上に文字で出される問題を、4つ程度の選択肢の中から選ぶといった形がほとんど。ファミコン時代にも『ファミリークイズ 4人はライバル』(1988年、アテナ)などのように対戦形式のクイズゲームが家庭でプレイできたが、クイズ番組のリアルさを追い求めるには、やや物足りなかった。
だが、ハードがプレイステーションとなり、音声が使用できるようになったことで、実際の番組を見ているかのような臨場感が再現できるようになった。
本作では司会者である児玉清さんの実際の映像や声が流れ、問題は番組そのままに読み上げられる。
プレイヤーは出題された問題を早押しで答えるというシステム。もっとも、口頭で答えるのではなく、あくまでもボタンを押した後に出てくる複数の選択肢の中から解答を選ぶという形だ。だが、それでもこれまでのクイズゲームとは違い、実際の早押しクイズに近い形を疑似体験できるというのは画期的であったように思う。
クイズの難易度的には実際の番組に出題される程度のものもあれば、「少し難しいのでは?」と思うものもある。さらには、択一式であるため、多少難しくても勘で正解できる場合もある。これは実際の番組でも頻繁に見かける光景で、クイズゲームならではの難易度設定と言える。
ただ、個人的に当時プレイしてとまどったのは、早押しクイズで答えが国名だと思って押したら、国旗の画像が出てきてその中から選ばされることがあったり、「アルファベット3文字で略して何という」といった問題で押すと、選択肢ではなく、全アルファベットの中から選ぶといった「変化球」がたまにあるところだった。