「今見ても秀逸すぎる…」80年代の伝説バラエティ『風雲!たけし城』チビッコを夢中にした「難関ゲーム」のロマンの画像
DVD『風雲!たけし城』其ノ壱(メディアファクトリー) (C)TBS

 1997年にTBS系列で始まった『SASUKE』。2024年末までで通算42回放送されている、言わずと知れた人気番組である。巨大なフィールドアスレチックの完全制覇を目指し、人生を賭けて“鋼鉄の魔城”に挑む挑戦者たちの勇敢な姿に感動を覚える人は多いだろう。

 その『SASUKE』の聖地として知られる「緑山スタジオ」は野外ロケ地として使われているが、かつては同じTBS系列の別番組の聖地として有名だった。

 それが、80年代に一世を風靡した視聴者参加型バラエティ番組『痛快なりゆき番組 風雲!たけし城』である。1986年から約3年間に渡って放送され、当時の子どもたちに強い印象を残した。

 内容は、殿様に扮したビートたけしさんが「たけし城」に居座り、挑戦者が数々の難関を乗り越えながら城を攻め落とす……というもの。挑戦者が失敗し脱落していくシーンがお茶の間を沸かせるというお笑い番組ではあったが、大規模なセット内に作られたアトラクションに挑戦者が本気で挑んでいく様子には、テレビゲームのようなワクワク感や緊張感があった。

 今回は、そんな昭和の伝説のバラエティ番組を振り返っていこう。

■のちの『SASUKE』にも繋がったものも…バラエティ豊かなアトラクションの数々

 『風雲!たけし城』は俳優の谷隼人さんが隊長となり、「行けー!」と視聴者から集められた挑戦者を指揮して数々の難関に挑んでいくスタイルの番組だ。その難関アトラクションの中には、現在の『SASUKE』に繋がるようなアトラクションもいくつか存在している。

 たとえば「ローラーゲーム」。これは回転する巨大なローラーの上を飛び移りながら向こう岸を目指すというアトラクションで、『SASUKE』でいう「ローリングヒル」のようなものだ。

 ただ、このローラーゲームはかなり難しい。ジャンプして回転するローラーに飛び移る必要があるため、バランス感覚がないとすぐに落下し、水没してしまう。次々と挑戦者が挑んでいくのだが、落ち方が面白い人が多かったためか頻繁に登場していた記憶がある。

 ほかには、回転するキノコにしがみつき、手を離さないようにして対岸まで渡りきる「キノコでポン!」。『SASUKE』でいう「ローリングログ」のような感じのアトラクションだ。女性にはロープを使っても良いというハンデがあったが、かなりの腕力を必要とするので脱落者が続出していた。

 このように『SASUKE』にほぼそのまま応用されたアトラクションがある一方、なんと「運頼み」のものも存在した。

 たとえば、最後の難関として登場する「人喰い穴」は、挑戦者が5つの穴のうちどれか1つに飛び込むのだが、実は5つの穴のうちたけし城に繋がっているのは3つだけ。残りは大念寺誠さんや渡嘉敷勝男さんが扮したキャラクターに襲われ、失格となってしまう。つまり、5分の3の確率で通過できる完全に運だけのゲームだった。

 また「街かどテレビ」では、カラオケスナックのような場所に案内され、司会の大木凡人さんが指示した曲を歌わなければならない。ちゃんと歌うことができればクリアできるのだが、流行りの曲から懐メロ、童謡、アニメソングに至るまで幅広く、知らない曲に当たってしまえばそれまでというものであった。

 ちなみに、個人的には「ジブラルタル海峡」がお気に入りだった。揺れる橋の上を向こう岸まで渡るのだが、ポップコーン正一・正二の2人が砲撃で邪魔をしてくる。アトラクション自体の難しさもさることながら、収録の関係か、この時点ですでに日が暮れてあたりが薄暗くなっており、クライマックスまでの近さを感じられてワクワクしたものだ。今の『SASUKE』2ndステージ以降が夜におこなわれているのと同じような雰囲気である。

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