『ドラゴンボール』異彩の戦闘エリート「ギニュー特戦隊」が敵キャラながら愛されるワケの画像
プレミアムバンダイのフィギュア「HGドラゴンボール ギニュー特戦隊セット」より (C) バードスタジオ/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

 鳥山明さんが原作・ストーリー・キャラクターデザインなどを手がけたアニメ『ドラゴンボールDAIMA』が2月28日の放送で最終回を迎える。

 まったく新しいキャラにまったく新しい物語が第1話放送から注目を集め、1995年に『週刊少年ジャンプ』で漫画『ドラゴンボール』が最終回を迎えてから約30年がたった今も、世界中のファンがその世界観に夢中になっている。

 『ドラゴンボール』といえば、個性的なキャラクターたちの魅力が尽きない。孫悟空やベジータ、ピッコロといったヒーロー側だけでなく、フリーザやセルといった敵キャラクターも強烈な印象を残してきた。

 その中でも、フリーザ軍の「ギニュー特戦隊」は異彩を放つ存在だ。彼らはその強さと独特のキャラクター性でファンを魅了してきた。今回は、そんなギニュー特戦隊の魅力に迫ってみたい。

※本記事には作品の内容を含みます。

■突然変異の集団が秘めたとんでもない能力

 悟空たちがナメック星で出会ったギニュー特戦隊は、キュイやザーボンやドドリアといった幹部たちと並びフリーザ軍を支える特殊部隊だ。単なるエリートではなく、出身種族の中から「突然変異」で生まれた天才的な戦士たち5人で構成されており、その戦闘力は宇宙でもトップクラスとされている。

 たとえば、リクームはその巨体から繰り出される圧倒的なパワーでベジータをも圧倒。バータは「宇宙最速」を自称するほどのスピードを誇り、ジースは冷静かつバランスの取れた戦闘スタイルで知られる。そしてグルドは、戦闘力こそ低いものの、息を止める間だけ時間を停止できる特殊能力を持っている。この能力は作中でもベジータを驚愕させ、「くそったれ…!!う…うわさはほんとうだったか…」と口にしたほどだ。後に『ドラゴンボール超』でヒットが「時飛ばし」という似た能力を披露したが、時間停止の持続時間においてはグルドが上回る。

 隊長のギニューはさらに異質な存在であり、特技「ボディチェンジ」は、「チェンジ!」と叫ぶことで相手の体と自分の体を入れ替えるという恐るべき能力。ギニューは自身にダメージが残るようにした後で悟空の体を乗っ取り、クリリンと悟飯のもとに向かう。そして悟空の体を使って戦うことになるが、地球人特有の“気”を使った戦い方ができず、失敗。ベジータの体を乗っ取ろうと画策するが、最終的には悟空が投げ入れたカエルとボディチェンジしてしまい、原作ではそのまま退場となった。

 うまく使用すればかなり有能な能力の持ち主であるギニューではあるが、ボディチェンジは頻発される技ではなく、ギニュー特戦隊のメンバーですら見たことがない可能性もある。奥の手として隠されており、ジースはギニューが自分を痛めつけている場面を見て、「そうかギニュー隊長は!」「やっぱりそうだ!」とレアな技の目撃に興奮していた。

 ギニューはツノを2本生やした紫色の身体をしているが、実はこれは本来の姿ではない。設定資料集『ドラゴンボール大全集』では「強い相手と出会う度にボディチェンジをしてきたので元の姿は一部の者しか知らない」と書かれている。また『週刊少年ジャンプ』に掲載された映画『ドラゴンボールZ とびっきりの最強対最強』の特集では、クウラの側近であるサウザーが、過去にギニューとクウラ機甲戦隊のリーダーの座を争ったことがあり、彼の真の姿を知っているという設定が書かれている。

 ただ、本編ではいっさいが明かされておらず、印象深い敵キャラだったゆえにその真相が気になってしまうところ。謎多きギニュー特戦隊のリーダーにふさわしいキャラと言えるだろう。

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