ガンダム相手に大金星も…!? ヤラれ役とは呼ばせない「史上最強のザク」といえば?の画像
「RE/100 1/100 ザクII改」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

 『機動戦士ガンダム』シリーズに登場する「ザク」と聞いて、皆さんはどのようなイメージを抱いているだろうか。初代『ガンダム』のアニメを観た大半の人は、「やられ役」という印象を持っているかもしれない。

 ファーストガンダムのアニメ内では、アムロのガンダムを筆頭にホワイトベース隊のメンバーが悠々とザクを撃破するシーンが描かれていた。だからこそ、そういうイメージがつくのもやむを得ない。

 しかし、その後の作品においては「ザク」も進化を続け、中にはガンダムに匹敵するほどの性能を持つ機体や、実際に戦闘の中でガンダムを倒してしまうものまで現れた。

 今回は劇中でそのような活躍が描かれたハイスペックな「ザク」と、その戦果について振り返ってみたい。

※本記事には各作品の内容を含みます。

■ザク初の快挙! ガンダムと相打つ!?

 OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場するジオン軍の新兵「バーナード・ワイズマン」。通称バーニィと呼ばれる青年が乗っていたのが「ザクII改」だ。

 このザクII改とは、一年戦争末期に完成したザクの最終生産型。『ガンダムモビルスーツバイブル 104号』(デアゴスティーニ)によれば、ドムやゲルググとパーツの共有化が図られ、ゲルググに匹敵する性能を持っていながら、新兵にも扱いやすい操縦性だった、と書かれている。

 そして劇中でバーニィが乗るザクII改は、ニュータイプ用に開発された新型「ガンダムNTー1」、通称“アレックス”と戦うことになる。一説によるとガンダムNT-1はアムロに届けられる予定だったガンダムタイプであり、一年戦争時の機体としては最強クラスの性能を誇る。

 そんなガンダムNT-1と戦うにあたって、ザクII改に乗るバーニィは事前に罠をしかけた森へと誘導。ガンダムの高機動力を活かせない状況を作り出した。

 最終的には、互いに近接武器による一撃を放ち、ザクII改はビームサーベルでコクピットを貫かれてバーニィは戦死。しかしガンダムNT-1も、頭部や左腕部を失うなど損傷は大きく、相打ちのようなかたちに終わる。

 なお、中破したガンダムNT-1はホワイトベース隊に届けられることなく、終戦を迎えることになった。
 バーニィの周到な準備とクレバーな立ち回りが功を奏した面はあるが、ザクII改自体も一年戦争時の量産機としては破格の性能を有していた。いくらガンダムに乗っていたのがテストパイロットで武装が限られていたとはいえ、最強クラスの性能を誇るガンダムと相打ちまで持ち込めたのは、ザクII改の優秀さがあってのことだろう。

■人の道を踏み外した悪魔であり「軍神」

 太田垣康男氏が描く人気コミック『機動戦士ガンダム サンダーボルト』(小学館)に登場する「サイコ・ザク」もザクの最強候補の一角といえるだろう。

 同作の世界設定は一種のパラレルワールドながら、宇宙世紀の一年戦争を踏襲している。そのなかに登場する機体なので、あえて含ませてもらった。

 サイコ・ザクがもたらした衝撃は、いろいろな意味で凄まじいものだった。

 同機の正式名称は「リユース・サイコ・デバイス装備高機動型ザク」であり、「リユース・サイコ・デバイス」という技術をモビルスーツの操作に利用。パイロットの脳波を機体の動きに連動させ、人間が手足を動かすかのような機体制御が可能となる。

 しかし、機体とパイロットをつなぐには、パイロットの四肢が義肢化されている必要があるという代物だった。

 そんな「リユース・サイコ・デバイス」を搭載した機体が、サイコ・ザクである。パイロットの「ダリル・ローレンツ」は左腕と両足を失っていたが、サイコ・ザクに乗るために健常だった右腕まで切断された。

 そこまでして手に入れた「サイコ・ザク」の力は絶大で、もうひとりの主人公「イオ・フレミング」が乗る「フルアーマーガンダム」と激闘の末、相打ちに近いとはいえ勝利をおさめた。

 サイコ・ザクの素体となったザクは、その正式名称やビーム・バズーカを装備していることから、「高機動型ザクR-2(後期型)」と思われる。プラモデル『MG1/100サイコ・ザク』の取扱説明書にあった作者インタビューにて、同型の「ジョニー・ライデン専用機」をモデルにしたとの発言もあり、ほぼ間違いないだろう。

 「リユース・サイコ・デバイス」による圧倒的な運動性能を誇るだけでなく、背部の大型バックパックに三基のザクバズーカやシュツルムファウストなどを備える。単騎で艦隊に挑めるほどの重装備を備えた、火力と機動力に優れたザクだった。

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