![『お父さんは心配症』や『ルナティック雑技団』にも…常識人だったのに! 岡田あーみん作品で「まともなキャラが壊れた瞬間」の画像](https://futaman.ismcdn.jp/mwimgs/e/f/728w/img_ef92c635fc78b6d9eca40e2262312768111322.jpg)
1980年代、少女漫画界において強烈なインパクトを残した漫画家がいる。それは当時の少女漫画界ではありえない過激なギャグを展開し、もはや“伝説の漫画家”と称される岡田あーみんさんだ。
1983年に『りぼん』(集英社)でデビューした岡田さんは、『お父さんは心配症』『こいつら100%伝説』『ルナティック雑技団』の3作品を残した。いずれも目が飛び出る、血が吹き出るといった過激なギャグ展開があり、登場人物は揃いも揃ってどこか壊れていたのが印象的だ。
だが、いずれの作品にも、登場当初はまともだったのにだんだん壊れていってしまった……というキャラがいた。今回は、そんな真面目キャラたちが壊れた瞬間のシーンを振り返りたい。
※本記事には各作品の内容を含みます
■最初はカッコよかった緒方、まともキャラの典子も…!?『お父さんは心配症』
岡田さんが『りぼん』で初めて連載した『お父さんは心配症』は、彼女が「少女漫画界に咲くドクダミの花」と言われる所以となった作品だ。
主人公は妻に先立たれた中年男性・佐々木光太郎。一人娘の典子を心配するあまり、典子に近づく男を包丁で追い回したり緊縛したりと、ハチャメチャな展開が続く。
そんな本作だが、登場当初はまともなキャラも多く存在した。たとえば、光太郎の職場の同僚である緒方だ。社内旅行を描いた「番外編 ヘンタイ海水浴の巻」で初登場をした緒方は、娘・ひろみが自慢するほどにダンディでカッコいい父親であった。
このエピソードでは、典子とひろみが孤島で取り残されるというトラブルが起きる。娘の救出に向かおうとする緒方は、周囲から“バタフライの緒方”と尊敬されるほど泳ぎにも自信があるようだった。
その後、光太郎とともに孤島に向かう緒方だったが、突然の雨にボートが転覆。いざ泳ぎ出すと“ラジオ体操をするのを忘れた”と心臓に異変を来した挙げ句、両足がこむら返りに。とんでもない形相で「さあ きみならどうする」と光太郎に迫るなど、だんだんヤバいキャラになっていく。
その後もたびたび登場する緒方だが、光太郎が最終回で「おまえ最初はかっこいい役だったのにな」と言うほど、印象的な壊れキャラとして活躍した。
また、作中通して唯一まともなキャラとして挙げられるのは、娘の典子だ。だが、実は典子の行動によって光太郎が過激な行動に出るケースもある。
「激走!! なみだの運動会の巻」にて。“かつて東洋のカール・ルイスと言われていた”と嘘の自慢をする光太郎の言葉を信じた典子。会社の運動会で「1等賞まちがいなしよね」「自慢のパパよ」とキラキラした目で見つめ、光太郎にプレッシャーをかけまくる。
このエピソードは、典子の言葉に奮起した光太郎がカッコ良く活躍する珍しい(!?)回なのだが、このように彼が暴走するきっかけは典子が原因となる回も少なくない。
最後までまともキャラとして貫く典子だが、振り返ってみるとやはり光太郎の血を受け継いでいるな……と思うようなシーンもたびたびあるのだ。
■弟子を引っ張る先生だって壊れないとやっていけない『こいつら100%伝説』
『こいつら100%伝説』は、忍者修行に励む極丸・危脳丸・満丸の3人が、美しい姫・白鳥姫子を守りつつも彼女を奪い合うハチャメチャコメディだ。彼らを指導するのは忍術道場の“先生”と呼ばれる老師範である。
先生の役目はとにかく大変で、無表情かつエキセントリックな極丸、ナルシストすぎる危脳丸、可愛いが奇行に走ることも多い満丸の3人をまとめなくてはならない。最初は真面目に厳しく諭していた先生だが、徐々に3人のテンポに引き込まれていき、だんだんと壊れていく。
最初にその様子が分かるのが、第4話にて夏休みの計画表を立てるストーリーでのこと。自分で立派な計画表を作ったあと、極丸のめちゃくちゃな計画表を見て怒る先生。
しかし、“一度完成した計画表は書き直すな”と言ったことで自分の計画を遂行しつつ極丸を追いかける羽目になってしまう。三味線の稽古や座戦の修行をしながらバキバキの目で極丸を追う先生……連載開始第4話で、すでに弟子3人に負けないようなぶっ飛びキャラになってしまった。
その後も3人の行動により多くの騒動に巻き込まれ、散々な目に遭っていく。それもあってか最終回ではサーファーの姿に変身し「3コマ目までいつも通りだったじゃないですか 先生」と言う危脳丸の手を振りほどき、「今日ぐらいおまえ達のお守りから解放させてもらうぜ」といって、バイクでその場を去ってしまった。
あーみんワールドでは、まともなキャラも壊れないとやっていけないのだろう……。