
2024年11月にHD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(スクウェア・エニックス)が発売され、2025年にはHD-2D版『ドラゴンクエストI&II』の発売が決定している。まだ正式な発売日は発表されていないが、リリースを待ち望んでいるファンも多いだろう。
『ドラクエ』シリーズは、初代の『I』から『III』までが「ロトシリーズ」と呼ばれ、作中の時系列でいうと『II』がいちばん最後の作品にあたる。
しかし、ロトシリーズの『II』の未来を描いた派生作品があることをご存知だろうか。その作品が、RPGにクラフト要素を追加した『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島(以降、『ビルダーズ2』)』(スクウェア・エニックス)である。
今回は『ビルダーズ2』で描かれた、オリジナルの「ロトシリーズ」と関連のありそうな重要なシーンについて紹介していこう。
※本記事は『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』の核心部分の内容を含みます。
■死んだはずのムーンブルク王が存命?
『ビルダーズ2』の時間軸は、『ドラクエII』で3人の勇者の子孫たちがハーゴンと破壊神シドーを倒したあと。ハーゴンが、ローレシア王子を惑わすために作った「まやかしの世界」が舞台である。この設定は序盤は明かされず、ストーリーが進むにつれて判明することになる。
当初は、本家『ドラクエII』に存在しない地名ばかりが出てくるが、中盤にさしかかる頃「ムーンブルク」を訪れることになる。このムーンブルクは、いまだにハーゴン教団と戦い続けている激戦区だった。
そこで指揮を執っているのが、なんとムーンブルク王である。本家『ドラクエII』のムーンブルク王は最初の段階で死亡しており、魂だけの存在になっていたのを覚えている人も多いだろう。
『ビルダーズ2』ではムーンブルク王は健在であり、物語においてかなり重要な役割を果たす。実はこのムーンブルク王は、自分がほかの住民とは違う存在であることを感じており、やがてこの世界が「まやかしの世界」であるという真相に気づくのである。
ただし、このムーンブルク王が「まやかしの世界で生まれた別の存在」なのか、「魂となったムーンブルク王がかたちをもった存在」なのかは明確にされていない。どちらにせよ『ドラクエII』ファンの筆者からすると、ムーンブルク王の登場にはかなり驚かされた。
■ハーゴンが破滅を狙った「真の目的」とは?
『ドラクエII』の大まかなストーリーは、邪教を崇拝する教団の神官ハーゴンを倒すというもの。実際のところハーゴンは復活した破壊神に世界を破滅させて、何を狙っていたのかは謎だった。
『ビルダーズ2』では、ハーゴンは亡霊となっており、それでも再度、破壊神シドーの復活を目論んでいる。そのためハーゴン教団は破壊の考えを布教し、モノづくりを禁止していた。そして、その目的とは「世界を消滅させて、それを見届けてから自分も消滅すること」という、自暴自棄とも受け取れるものだった。
しかし、物語の最終盤にて「生きていたときは自分が望む世界を作るために世界を破壊したかったはずだ」と指摘され、ハーゴン自身も実は「創造」を夢見ていたことが判明するのだ。
あくまでこれは『ビルダーズ2』で描かれたハーゴンのことではあるが、本家『ドラクエII』のハーゴンも、破壊の先に自分が望む世界の創造を考えていたのだとしたら筋が通る気もする。
『ビルダーズ2』らしいクラフト要素を加味したオリジナル設定だと思われるが、これが本家『ドラクエII』のハーゴンの真の目的だったとしてもしっくりくるのが見事だ。