■ラストバトル直前に交渉を…実は狡猾な初代『ドラクエ』の「りゅうおう」

 初代『ドラゴンクエスト』のラスボスといえば「りゅうおう」だ。人型のような姿で登場するのだが、これを倒すと変身し、大きなドラゴン形態になり本性をさらけ出す。

 絶対的な力を持ちながら、狡猾さも持ち合わせたりゅうおうは、主人公との対決前に「もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを おまえに やろう」と、交渉を持ちかけてくる。これに承諾すると“ふっかつのじゅもん”を教えてくるのだが、このふっかつのじゅもんを入力してしまった場合、強制的にレベル1で装備品や所持金も手放した状態となってしまうのだ。

 主人公側からすると騙されたことになるのだが、ここまで貯めたゴールドや強力な装備品を奪っているので、魔物側からの視点だと見事な交渉術といえる。

 労せずして勇者を弱体化し、戦利品までいただいているのだ。「さすがりゅうおうさま」と、さぞかし求心力も高まったことだろう。

 

 ここで紹介した魔王たちは、歴代『ドラクエ』シリーズの中でも有能な者ばかりだと思う。力が絶対主義といえる魔王軍において、魔王自身も強力な戦闘力、カリスマ性を有していないといけない。

 そこに苦労もあったのかもしれないが、これら有能な魔王たちのおかげで、プレイヤーは大冒険を堪能できたというものだ。

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