
原作:天樹征丸氏・金成陽三郎氏、作画:さとうふみや氏による『金田一少年の事件簿』は日本を代表するミステリー漫画であり、これまで幾度もドラマ化されてきた。
過去に主人公の金田一一を演じたのは、堂本剛さんから始まり、松本潤さん、亀梨和也さん、山田涼介さん、道枝駿佑さんといったそうそうたる顔ぶれ。単にドラマとして有名なだけでなく、若手男性アイドルの登竜門としても広く知られている。
すでに30周年を迎え、最新作『金田一パパの事件簿』も連載開始されるなど、これからも盛り上がりが予想される本シリーズ。今回はそのドラマ版の歴代金田一について一気に振り返っていこう。
※本記事にはドラマ『金田一少年の事件簿』の内容を含みます
■原作のイメージに特に近い?初代・堂本剛
『金田一少年の事件簿』は1995年に初めてドラマ化され、監督を務めた堤幸彦さんによる不気味で独特な雰囲気も話題を呼んだ。主演は堂本剛さんで、ドラマ『金田一』といえば本作が真っ先に頭に浮かぶ人も多いのではないだろうか。
当初は単発ドラマとして制作され、のちに連続ドラマ、劇場版……と続いていった本作。いずれのエピソードも見ごたえたっぷりで、残虐な描写や不気味すぎる犯人といった「トラウマシーン」の数多さも特徴のひとつである。
堂本さんの演じる金田一はほどよく肩の力が抜けており、三枚目としての印象が強い。勉強嫌いでおちゃらけてばかりでだらしない……かと思えば推理中の姿はかっこよくまるで別人のようで、そのギャップに魅せられる。「原作の金田一のイメージに一番近い」という声がちらほら見られるのにも納得だ。
近年は『金田一37歳の事件簿』や『金田一パパの事件簿』などが連載され、堂本さんと年が近くなった金田一のストーリーも描かれているため、ファンとしてはこちらの実写化にも期待してしまう。
■クールだけど妄想癖もあり!?2代目・松本潤
初代の強いイメージが残っている中で、新たな金田一像を作り上げたのが2代目の松本潤さんだ。のちにスーパーアイドルとなる松本さんが、キラキラしたイケメンではなく、等身大の男子高校生としての金田一を演じているのが面白い。
こちらのシリーズでは、「速水玲香誘拐殺人事件」や「魔犬の森の殺人」、「露西亜人形殺人事件」といった原作の人気エピソードが映像化されているのも、ファンとしては嬉しい。
松本さんの金田一は堂本さんと比べるとクールでナイーブな印象があり、推理シーンにもナチュラルなかっこよさが感じられた。その一方で妄想癖があり、ひとりで妄想ワールドを繰り広げるなど、コミカルな表情も見せている。
また、鈴木杏さん演じる七瀬美雪との関係がていねいに描かれているのも特徴で、くっつきそうでくっつかないふたりの描写にもドキドキさせられる。特に原作でも名シーンとして知られる「マジックミラー越しのキス」はファン必見。のちにさまざまな恋愛ドラマで大活躍する松本さんのかっこよさは、すでにこのときから存分に発揮されているようだ。
■チャラ男風の見た目が印象的だった3代目・亀梨和也
歴代の金田一の中でも単発ドラマのみの出演となったのが、3代目の金田一を演じた亀梨和也さんだ。本シリーズで映像化されたのは、不気味なペンションで殺人事件が起こる「吸血鬼伝説殺人事件」である。
亀梨さんの演じる金田一は、他のドラマとは一線を画している。祖父である金田一耕助にコンプレックスを抱き、「ジッチャンは関係ないっすから」と事件や推理からも距離を置いているのだ。それぞれ性格は違えどジッチャンの孫であることに誇りを持っている金田一ばかりの中、こうした態度は異色と言ってもいいだろう。
また、外見が当時流行っていたイケイケのチャラ男風になっているのもなかなか斬新だ。そんな軟派で推理嫌いの金田一がどう事件と向き合い、解決に導いていくのかも見どころである。