■見た目が通好みだった? 牡牛座のアルデバラン、魚座のアフロディーテ

 ここからは主観も入り申し訳ないが、やや見た目が通好みだったのかもと思う黄金聖闘士を紹介したい。

 まずは、牡牛座(タウラス)のアルデバランだ。アルデバランは十二宮で星矢たちの前に立ちはだかった最初の戦士である。パワー系戦士であるがゆえ、その見た目は巨大でイカツく、当時、“牡牛座生まれで残念”と思った読者も多かったかも知れない。

 ただし星矢たちの目的を知ったのち、アルデバランはわざと戦いに負けて道を譲るなど、性格はかなり誠実で漢気のあるキャラクターだ。大人になってから見てみると、良さが分かるキャラでもある。

 好き嫌いが分かれたのが、魚座(ピスケス)のアフロディーテだろう。左目の下に泣きぼくろを持ち、美しいビジュアルをしたアフロディーテ。登場時には薔薇を口にくわえており、“この戦士は女性なのか”と、勘違いした読者は多いはず。だが、実際は男性だ。

 その見た目や所作から“輝きをほこる美の戦士”と呼ばれることもあり、独特の魅力を発揮していたが、ほかの黄金聖闘士たちと比べると雄々しさ、たくましさには欠けるかも……しれない。

 また、十二宮で紫龍と死闘を繰り広げた黄金聖闘士・山羊座(カプリコーン)のシュラ。紫龍が放った最後の奥義「廬山亢龍覇」で相打ちかと思われたが、最終的には紫龍に自らの聖闘衣を着せて助け、自身は燃え尽きてしまった。

 正義感のあるキャラだが、特徴的なもみあげやちょっとキザな雰囲気のビジュアルは子どもたちには良さが伝わりづらかったのか、人気を少々落としてしまった気がする。

■全体的に残念だったのは…やはり蟹座のデスマスクか

 『聖闘士星矢』の星座人気において最下位と想像できるのがこの人。蟹座(キャンサー)のデスマスクだ。

 デスマスクは殺戮を好み、これまで殺害された人は成仏できずに恨めしい顔をして巨蟹宮に浮かんでいた。あまりの非道ぶりに、戦い相手の紫龍も“なぜ黄金聖闘士のなかにこのような男がいるのだ”とショックを受けていたほど。

 さらに卑怯なデスマスクは紫龍の身を案じた春麗の存在も疎ましく思い、彼女にも手をかけようとする。それが紫龍の逆鱗に触れ、最終的に倒された。

 「黄金聖闘士編」において黄金聖闘士はみな強く青銅聖闘士たちを苦しめた。だが、最終的には星矢たちの信念を認め、サポート役にもなっている。しかし蟹座のデスマスクだけは最後まで譲らず、絶対的な悪だったのがなんだか面白い。

 ただしどの漫画においても、最も極悪非道なキャラというのはインパクトが残るもの。デスマスクも『聖闘士星矢』のなかで魅力溢れるダークキャラとして印象に残っているのは間違いないだろう。

 

 『聖闘士星矢』が『ジャンプ』で連載されていたころ、黄金聖闘士たちのおかげで星座人気ができ、“お前は何座だ!?”と盛り上がっていたことを思い出す。

 蟹座の男子は、“え〜デスマスクじゃん”などと言われて残念がっていた記憶もあるが、今思うと“世の中きれいごとばかりじゃない”というスタイルで悪を貫き通したデスマスクだって魅力的である。

 そんな筆者は何を隠そう、星座のなかでも人気最上位と呼ばれた乙女座である。当時は子どもながらに“乙女座で良かった!”と、誇らしく思っていた記憶がある。そんな当時の思い出を大人になって懐かしく思い出すのも、また一興ではないだろうか。

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