『機動戦士ガンダム』アムロが熟練兵を仕留めた「極悪トラップ」とは? 戦闘の天才が魅せた“頭脳的戦術”のすごさの画像
DVD『機動戦士ガンダム 6』(バンダイナムコフィルムワークス) (C)創通・サンライズ

 『ガンダム』シリーズでの最強パイロットは誰なのか。この話題はしばしば議論になるが、宇宙世紀作品のファンであれば、やはり「アムロ・レイ」の名前を挙げる人が多いのではないだろうか。

 テレビアニメ『機動戦士ガンダム』や劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で主人公を務めたアムロは、『ガンダム』シリーズを代表するニュータイプのパイロットだ。

 初代『ガンダム』の後半からニュータイプとしての素質を開花させ始め、次第に常人離れした力を見せるようになるが、実はニュータイプとして覚醒する以前から、頭脳的な戦いぶりには目を見張るものがあった。

 そこで今回は、劇中でアムロがしかけた「極悪トラップ」を3つ紹介したい。

※本記事は各作品の内容を含みます。

■「盾は使い捨て」がアムロの基本戦術!?

 盾(シールド)は相手の攻撃を防ぐ重要な装備だが、アムロの使い方は本来の用途だけにとどまらない。むしろアムロは、盾を使い捨ての道具のように扱うことに定評がある。

 それを初めて見せたのは、『機動戦士ガンダム』の第19話「ランバ・ラル特攻!」のこと。ジオンのランバ・ラルが乗るグフと対峙したアムロは、盾を構えたままガンダムで突進。ラルはグフのヒート・サーベルで迎え撃ち、盾を斬り裂いたが、そこにガンダムの姿はなかった。

 アムロは、ラルにわざと盾を斬らせて、その破片に隠れるようにジャンプ斬りをしかけたのだ。

 いってみれば「肉を切らせて骨を断つ」戦法なのだが、それをモビルスーツ戦で実行する柔軟な発想と度胸がすごすぎる。歴戦の戦士であるラルが驚きの声をあげていたことからも、その戦法が一般的ではないことが分かるだろう。

 また、アムロはこの戦いのなかで、エネルギー残量がわずかなビーム・ライフルをためらいなく投げ捨てる場面もあった。道具は道具として割り切り、状況次第では主力武装すらあっさり手放す思い切りの良い判断も、アムロのすごさといえるかもしれない。

■相手の油断を誘う! 二段構えの防御から反撃

 続いて紹介するのも『機動戦士ガンダム』のワンシーンから。第32話「強行突破作戦」で、ジオン軍のドレン率いる艦隊と戦闘に突入。アムロはリック・ドムの部隊と激突する。

 そのうちの1機と接近戦に臨んだアムロは、ドムの手元の小さな動作から、下からの攻撃だと見抜いて回避。続けざまに繰り出したガンダムのビームサーベルによる突き攻撃は避けられたかに見えたが、これはアムロがしかけた巧妙なワナだった。

 その直後、リック・ドムがガラ空きのガンダムの胴体を狙ってくることを読み切って、盾の裏側で2本目のビームサーベルを構えていたのだ。

 渾身の胴斬りをサーベルで防がれて虚を突かれたリック・ドムは、ガンダムにビームサーベルを突き刺されてやられてしまう。

 このシーンでもアムロは盾をおとりに使っていた。しかも恐ろしいことに、盾を構える瞬間まで2本目のビームサーベルは背中のバックパックに収納されたままだった。つまり相手に気取られないよう、盾を斬り裂かれる寸前に2本目のサーベルを構えたのだろう。そのとき相手にサーベルが見えないよう、盾でリック・ドムの視界を遮っているようにも見えた。

 一瞬の攻防でここまでの作戦を思いつき、実行してみせたアムロの技量の高さには驚嘆せざるを得ない。

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