■その染みは誰のもの…? 【動く美術品編】

 やはりレイアウトにこだわりたい人にとっては、美術品関連の家具もしっかりと揃えたくなってしまうもの。

 『あつ森』では、現実世界にある名画をモチーフとした絵画や彫刻が多数登場している。そしてその中には、本物そっくりでありながら、ちょっとした怪奇ギミックが施された偽物の美術品家具も用意されているのだ。

 一見、どれも本物同様の見た目だが、これらは時間帯が変わると絵の向きが変わったり、モデルの人物の表情が変わったり、目が発光したりといった、さまざまな変化が起こる。不意に発見してしまうと、思わずギョッとしてしまうだろう。

 なかでもとくに強烈なインパクトをもたらすのが「しなやかなめいが」の偽物。

 こちらは現実に存在する名画「見返り美人図」をモチーフとした家具なのだが、偽物は女性の姿が大きかったり、そもそも見返っていなかったりと本物とは明確な違いがいくつも確認できる。

 だが、この偽物が真に恐ろしいのはその“裏側”。絵が飾られている土台の板の裏に、よく見ると人型をした染みのようなものがうっすらと浮かび上がっているのだ。

 なんとも不穏感漂う造形なのだが、この染みがなんなのか、作中における真相は謎のまま。偽物だろうと侮っていたプレイヤーの意表を突く、巧妙なホラー演出といえるだろう。

 

 自分だけの島や家をレイアウトしながら、まったりとスローライフを楽しむことができる『あつまれ どうぶつの森』。しかし家具のところどころに隠されたホラーテイストな演出は、見る者を思いがけずヒヤッとさせてくれる。

 いずれも普通にプレイしているだけではなかなか気付かない、さりげないギミックばかりなのがニクいところだ。家具に隠された恐怖演出に恐れおののくとともに、その芸の細かさにも思わず唸らされてしまう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3