『必殺仕事人』に『もっともあぶない刑事』、『スケバン刑事III』も…ファミコンで「昭和の名作ドラマ」はどうゲーム化されたのか?の画像
ファミコン『必殺仕事人』(バンプレスト)©松竹・朝日放送 ©BANPRESTO・1990

 時代はちょうど昭和から平成への過渡期。当時、ファミコンは空前のブームを迎え、多くの人気テレビドラマもゲーム化された。

 そこで本記事では、そのなかでも印象に残るテレビドラマをもとにしたファミコンソフトをピックアップ。それぞれのゲームの内容や原作の再現度、ゲームとしての出来栄えについて振り返ってみよう。

※本記事には各作品の内容を含みます

■藤田まことさん主演の人気ドラマシリーズをゲーム化『必殺仕事人』

 1990年にバンプレスト(現:バンダイナムコエンターテインメント)から発売されたファミコンソフト『必殺仕事人』。

 テレビドラマ『必殺仕事人』シリーズは、近年も東山紀之さん主演で新作が作られるほどの人気作だが、本ファミコンソフトは藤田まことさんが主演をつとめた「中村主水シリーズ」をベースとしている。

 プレイヤーはSD化された中村主水を操作し、フィールドを歩き回りながらキャラクターたちと会話し事件の謎に迫っていく。ボリュームは控えめながら、途中には忍者などの敵と戦うターン制バトルも用意されており、南町奉行所の同心である主水になりきってプレイするアドベンチャーゲームとなっている。

 本作は登場キャラが充実しているのも魅力だった。山田五十鈴さん演じる「おりく」をはじめ、三田村邦彦さん演じる「飾り職人の秀」、京本政樹さん演じる「組み紐職人の竜」など、おなじみの仕事人メンバーがSDキャラとして勢ぞろい。ガンダムや仮面ライダーなどSDキャラを得意としていた、さすがバンプレストという出来となっている。

 最終ステージでは、悪人の幹部たちを仕留める“裏稼業シーン”も再現。なぜかここでもターン性のバトルが展開されるが、最後はしっかりドラマシーンの再現である“必殺技”で決着。ちなみに筆者は、「三味線屋の勇次」の三味線糸を使った必殺技が一番好きだった。

 そしてエンディングには、原作ドラマでもお馴染みだった、主水が嫁と姑にいびられるコメディパートも挿入されている。最後まで原作ファンを楽しませようというサービス精神が感じられる作品となっていた。

■タカとユージのハードボイルドゲーム?『もっともあぶない刑事』

 1990年に東映動画(現:東映アニメーション)から発売されたファミコンソフト『もっともあぶない刑事』。原作のドラマ『あぶない刑事』は、1作目が1986年に放送開始され、昨年、2024年にも新作劇場版が公開。今なお根強い人気を誇るシリーズである。

 本ファミコンソフトは、1989年に公開された劇場版『もっともあぶない刑事』をもとにして制作された。

 電源を入れると、ドット絵で描かれた舘ひろしさん演じる「鷹山敏樹(タカ)」と柴田恭兵さん演じる「大下勇次(ユージ)」が登場。タカの「きのうのおんなはどうした」というセリフに対し、「ごぜんれいじの チャイムとどうじに わかれたさ」そんなお洒落な2人の掛け合いに期待感が高まる。

 プレイヤーはタカとユージのどちらかを選択、ちなみに2人同時プレイも可能だ。ピストルやドスを持って襲いかかってくる殺意の塊のような敵に、こちらも銃や手りゅう弾で応戦していく。

 なかなか大味な横スクロールのアクションゲームにも思えるが、原作ドラマのアクションシーンもノリのいい感じだったので大目に見たい。ただ、原作ドラマファンとしては、タカはショットガンが使えたり、ユージはスピードやジャンプ力があったりという性能差が欲しかったところだ。

 途中、犯人が船を使って逃亡したり、タカとユージが犯人を吊るし上げたりと、映画のシーンを再現しようとする努力が感じられる。そして映画同様、ラスボスの暴力団会長を倒すとゲームクリアとなる。

 エンディングでは、なかなか味のあるタカとユージのドット絵を背景にした、お馴染み横浜港警察署のコメディパートが繰り広げられる。ちなみに彼らの登場はセリフだけなので、原作ドラマファンは脳内で補完してほしい。

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