■部下を生かし、活かすのが上官の努め

 『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』では、ジオン公国軍の残党が結集した組織「デラーズ・フリート」の指導者であるエギーユ・デラーズの台詞が印象深い。

 一年戦争の最終盤でのア・バオア・クー防衛戦。艦隊を指揮していたデラーズは、ギレン・ザビの死を知って戦線からの離脱を決意する。そのさなか、機体の修理目的でデラーズの艦に着艦していたアナベル・ガトーは、生き恥を晒すまいと戦線への復帰を希望したのである。

 そんなガトーに対しデラーズは「ならん! 今は耐えるのだ! 生きてこそ得ることのできる栄光をこの手に掴むまで、その命、儂が預かる! いいな!」と、自ら死地に飛び込もうとするガトーを説き伏せたのだった。

 ガトーは繋ぎとめられたその命をもって、のちに連邦のガンダム試作2号機を強奪、さらに核攻撃によって連邦の艦隊の半数以上を撃滅する武功を立てるのである。

 やがてデラーズは地球にコロニーを落とす「星の屑作戦」を発動し、コロニーが大気圏突入までまもなくといったところで、反旗を翻したシーマ・ガラハウにブリッジを占拠されてしまう。

 新型モビルアーマー「ノイエ・ジール」からその様子を見ることしかできないガトーに対し、デラーズは「ガトーよ、意地を通せ。現にコロニーはあるのだ」「征け! 儂の屍を踏み越えて!」と、自身の命に代えても作戦を完遂するようガトーに促し、射殺されたのである。

 作戦遂行のために命を落としてきた同志たちの遺志を託す言葉であり、ガトーを奮い立たせた熱すぎる名台詞だった。

 

 多くの視聴者も共感しやすい、上官と部下という関係性から生まれた名台詞の数々。『ガンダム』ファンであれば、心にジーンと染みわたった瞬間もあるだろう。

 部下がいる立場の人はぜひ、『ガンダム』シリーズの上官キャラの名台詞を参考に、部下との良好な関係を築いていってほしい。

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