■当時の社会的背景もふんだんに盛り込んだ『僕が彼女に、借金をした理由。』

 『僕が彼女に、借金をした理由。』は、1994年10月よりTBS系列で放送されたドラマだ。

 真田さん演じる山野辺邦彦は、諸事情から借金取りに追われるサラリーマンだ。ふとしたことで小泉今日子さん演じる立花ゆきと出会い、彼女からお金を借りることに。お金のやりとりで知り合った2人だが、やがて奇妙な恋愛関係に発展していく……という内容だ。

 このドラマは邦彦が会社の受付嬢と不倫をし、また邦彦の妻・道子(斉藤慶子さん)もカードを使いこんだあげく昔の恋人の元へ逃げるという展開から始まる。振り返ってみると、あの頃は不倫に対する考え方が今よりもゆるやかだったように思う。

 またこのドラマが放送された94年は、ちょうどバブル崩壊後にあたる。その世相を反映してか、ドラマではカード破産やローン地獄など、当時社会問題になっていたお金にまつわるトラブルが盛り込まれているのも見どころだ。

 サラリーマンの邦彦は、頼りない一面が垣間見えるいわば“ダメ男”だ。だが、端正な顔立ちの真田さんが演じるからこそ、そこにコミカルさも生まれる。

 ちなみにスーツ姿もとても似合っていた真田さん。満員電車に揺られるシーンや土下座シーンなど、いまとなっては貴重なシーンも多くあるので、ぜひ見返してみてほしい。

 

 90年代、ダンディなイケメン俳優としても活躍した真田さん。今や海を渡り、日本だけでなく世界を代表する名俳優となった。昔のセクシーな雰囲気が漂う真田さんも素敵だが、現在の圧倒的な迫力と存在感のある彼もまた魅力的である。

 『SHOGUN 将軍』は続編の制作も決まっているというので、今から楽しみだ。真田さんのさらなる活躍に、今後も期待したい。

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