■敵役から一転!『ふしぎの海のナディア』グランディス一味のグランディス
1990年放送の『ふしぎの海のナディア』に登場するグランディス・グランバァは、サンソンとハンソンを従えた「三悪」グランディス一味の女ボスだ。序盤こそ主人公のナディア・ラ・アルウォールが持つ宝石“ブルーウォーター”を狙う敵役だったが、次第に打ち解け、物語を彩る重要なキャラクターとなっていく。
なかでも彼女の印象を変えたのが、第10話「グラタンの活躍」。グランディスたちのタンク“グラタン”が機雷除去という危険な任務に挑むエピソードだ。
グランディスを気絶させ、彼女を外して任務に挑むサンソンとハンソン。「何やってんだい!」と目を覚ましたグランディスは、メインブリッジから必死に指揮を執る。グランディス一味がただのボスと部下でなく、深い絆でつながっていることが伝わる名エピソードである。
ちなみに本当にグランディスは女ボスとして優秀であり、多感なヒロイン・ナディアの相談役として精神的に支えたキャラクターでもある。
最終回「星を継ぐ者…」では、死にゆくナディアの父・ネモがグランディスに「子どもたちのことは頼みます」と託す姿も実に印象的だった。
「三悪」の女ボスたちは、単なる悪役にとどまらない魅力で視聴者を惹きつけてきた。ドロンジョの恋心、ムサシの熱い友情、そしてグランディスの頼もしさ。それぞれが持つギャップや人間味あふれる一面が、彼女たちをより魅力的で印象深いキャラクターとしていた。
彼女たちが敵役という枠を超え、物語に深みをもたらす存在であったことは間違いない。