アニメの世界には個性的な悪役が数多く登場する。そのなかでも「三悪」の女ボスたちは、美しさや知性、そして時折見せる意外な優しさや純粋さによって視聴者を魅了してきた。このような彼女たちのギャップに惹かれたファンも少なくないだろう。
今回は、そんな「三悪」の女ボスから代表的な3キャラに焦点を当て、それぞれの魅力が際立つエピソードを振り返っていく。
※本記事には各作品の内容を含みます
■乙女のようなピュアな一面『ヤッターマン』ドロンボー一味のドロンジョ
1977年から放送の『タイムボカンシリーズ ヤッターマン』に登場するドロンボー一味の女ボス・ドロンジョは、そのセクシーなブラックコスチュームや金髪碧眼の美貌で視聴者を釘付けにした。トンズラーとボヤッキーという二人の子分を従え、毎回ヤッターマンたちとユーモラスな攻防を繰り広げる姿が印象的だ。
しかし、ドロンジョの魅力はそれだけじゃない。時折見せるピュアな一面も彼女の魅力だった。
第88話「赤毛のランだコロン」にて、ヤッターマン1号にけん玉状の武器・ケンダマジックで抱き寄せられたドロンジョ。強引な1号の胸元で「ドッジーン!」と恋に落ちる瞬間が描かれた。
年上女性を胸元に引き寄せ、悪びれもなく説教する1号ことガンちゃんも罪な男だ。このエピソード以降、ドロンジョは1号への恋心をたびたびのぞかせることとなる。
ちなみに、この設定は2009年の実写映画『ヤッターマン』でも生かされている。櫻井翔さん演じるヤッターマン1号と、彼に恋する深田恭子さんのドロンジョも非常にかわいらしかった。
■ポケモンとの友情が光った『ポケットモンスター』ロケット団のムサシ
アニメ『ポケットモンスター』ロケット団のムサシもまた、「三悪」の女ボスとして人気を博しているキャラクターだ。長い赤髪に青い瞳、スタイル抜群の美貌を持つムサシ。コジロウやニャースとともにシリーズを代表する悪役である。
そんなムサシの意外な魅力が際立ったのは、第131話「ハピナスのハッピーナース!」だ。
若かりし頃に看護師を目指していたムサシが、昔の友達であるハピナスと再会するのだが、おっちょこちょいなハピナスのミスを庇うため、ムサシはロケット団として悪役に徹する。“こんな私のところに来ちゃダメ”とつらい表情をしながら攻撃し、ハピナスを追い払うシーンに胸を打たれた視聴者は多かっただろう。
このエピソードは、ムサシがただの悪役ではなく、ポケモンへの深い愛情を持つキャラクターであることを印象づけた。彼女の内面の美しさが垣間見える名場面だ。