
2024年にNetflixで独占配信された『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』は、一年戦争における地球・ヨーロッパ戦線が舞台となった。連邦のガンダムEXの襲撃に遭い、基地を奪還されたジオンの苦境のなか、残されたジャンク品や余剰パーツなどから新たな機体を組み上げたり、応急修理する場面が描かれている。
こうした現地改修や応急修理の様子は、過去のアニメ作品にも登場。テレビアニメ『機動戦士ガンダムZZ』では損傷した「Zガンダム」の頭部を「ザクII」のものに置き換えた、通称「Zザク」が登場したり、OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』では「陸戦型ガンダム」の頭を、互換性のある「陸戦型ジム」の頭部に交換した機体、通称「ジムヘッド」が登場したりしている。
こういった「ありあわせの代用品」などで現地改修された機体には、ピカピカの新型機とは違った魅力が感じられる。今回は、そのような現地改修が行われた機体や、応急修復を受けて戦った泥臭い機体たちを振り返っていきたい。
■現地改修とは思えない変わりように衝撃
OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の主人公「シロー・アマダ」が乗る「ガンダムEz8」は、アプサラスIIとの戦いで大きく損傷した「陸戦型ガンダム」を現地改修した機体だ。
「Ez8」とは「Extra-Zero-8」の略であり、シローが所属するコジマ大隊第08小隊の特別機を意味している。
壊れた陸戦型ガンダムに現地改修を施した機体ではあるが、原型を留めないほどの大改修が行われた。これは純正パーツの不足により、別機体の余剰パーツなどを利用したことが影響している。さらにパイロットのシローの意向による武装変更やカスタマイズも施され、結果的に原型機である陸戦型ガンダムを上回る性能を獲得した。
おもな改修点として目を引くのは、ガンダムの象徴であるV字アンテナを廃し、ロッド式のアンテナに変更された点だ。また胸部コクピット部には、より耐弾性を高めるための装甲を追加。これはジオンの「ザクII」から回収したシールドを加工し、2枚重ねて装着している。
ありあわせのパーツを流用した急造品ではあるものの、結果的に軽量化が図られ、スラスター推力も多少強化されたことで機動性はむしろ向上した。
同機は最終決戦において、モビルアーマー「アプサラスIII」の大爆発に至近距離で巻き込まれるかたちになったが、機内にいたシローとアイナが健在だったのは、Ez8のコクピット周りの堅牢さが影響したのかもしれない。
陸戦型ガンダムがベースとは思えないスタイリッシュなビジュアルと、実戦における活躍ぶりが印象に残る現地改修機だった。
■かつての力を失ったガンダムの悲しき姿
アニメ『機動戦士ガンダム00』の第2期に登場した「ガンダムエクシアリペア」も忘れられない修復機体だ。主人公「刹那・F・セイエイ」が第1期の最終決戦に搭乗して大破した「ガンダムエクシア」を、刹那自らが修復したものである。
最後の戦いで右目と左腕、および武装の大半を喪失したエクシア。右目は敵MS「ティエレン」のカメラを流用して強引に修復されており、左右のカメラアイが非対称になっている。
喪失した左腕は、そのことを悟らせないためにマントを羽織っているだけの有り様。残された武装は、7本あったなかで1本だけ残った損傷した「GNソード」と、右腕のGNバルカンだけである。
そんな状態のエクシアリペアは、残念ながら敵の量産機にも力負けする始末。かつてのエクシアの無双ぶりを知るファンからすると切ないものがあるが、修復の跡が隠しきれないエクシアリペアからは、歴戦の雄ならではの魅力も感じてしまう。
ちなみにエクシアは第2期の最終戦で「エクシアリペアII」となって復活、このときは最新技術を用いた改修が施されてパワーアップしており、再度視聴者を驚かせた。