
藤子・F・不二雄さんの『ドラえもん』に登場するジャイアンといえば、ガキ大将の代名詞としても知られる乱暴者だ。いつものび太をいじめ、他の同級生に対しても横暴な態度をとってばかり。いざというときは頼りになるところもありつつ、基本的には俺様気質の“暴君”である。
そんなジャイアンだが、実は意外にも彼が主役の恋愛回があることはご存知だろうか? ガサツで乱暴でおよそ恋とは無縁そうな彼が、どんな“恋する”姿を見せているのか……この記事では、普段とはちょっと違う一面が見られて新鮮な、ジャイアンの恋愛エピソードを振り返っていこう。
■普段は暴君なのに…恋愛となると意外と奥手!?
ジャイアンの恋愛を描いているのは、「グンニャリジャイアン」と「恋するジャイアン」という2つのエピソードだ。
どちらの話でもジャイアンは見ず知らずのかわいらしい女の子に恋をして、どうにか仲良くなりたいと思うようになる。つまりまったくの一目惚れだ。
好きになったはいいが、いったいどうアプローチするのか。普段の暴君ぶりを目の当たりにしていると、女の子にもグイグイ迫って怖がらせてしまうのでは……と思いきや、ジャイアンは恋愛となると意外にも奥手らしい。
「グンニャリジャイアン」ではうまく話しかけることすらできず、どうにかお近づきになろうとするも、いざ女の子の前に立てばニタリニタリと不気味な笑顔を浮かべるしかできない。一方の「恋するジャイアン」では、はじめから自信がないといってモジモジしてばかりだ。しかも、まずは友だちになりたいだけなのにそれでも緊張してうまくいかないという、いじらしさである。
どう見ても強引に迫りそうなタイプなのに、気になる女の子相手だとおしゃべりすることすらままならない不器用なジャイアン。そんな悩める彼は、世間の恋する人々がそうするように、友人に相談して助けを求めることにする……。その相手として選ばれたのは、「心の友」のび太とスネ夫であった。
■なんだかんだで協力してあげるのび太とスネ夫
相談して助けを求めるといっても、そこはやはりジャイアン。「三時間のうちに、あの子とおれを友だちにしろ!」「成功したやつは心の友だ。」「失敗したやつは ただではすまねえぞ!」などといって無理難題を突きつけ、相談というよりはむしろ命令で彼らを動かそうとする。
とはいえ、のび太もスネ夫もモジモジしているジャイアンが物珍しいのか、面白がってからかう姿が印象的だ。話を聞きながらニヤニヤ笑ったり、調子に乗って“あの顔じゃ下手に近づいたら逃げられるかも”などと軽口を叩いたりと、気心の知れた対等な友人同士のようなやりとりをしている。もちろん容赦なく殴られてしまうわけだが。
のび太とスネ夫はジャイアンが怖いという理由ももちろんあるにせよ、なんだかんだ乗り気で手助けをしている。ジャイアンも(恥ずかしがりつつ)このふたりにまず頼るあたり、かなりの信頼を寄せていることがうかがえる。
ちなみに「恋するジャイアン」ではまずスネ夫に相談し、次いで呼び出したのび太には「スネ夫おまえからはなせ」と筆談で伝えて、自分は背を向けたまま無言を貫こうとしていたジャイアン。恋バナをするのが照れくさかったのだろう。いつもの振る舞いからは考えられないが、意外にかわいらしいところもあるようだ。