■かつては敵だったが味方になった涅マユリ
最後はいまだに味方なのかも分からないマユリの行動を紹介したい。マユリは尸魂界(ソウル・ソサエティ)のブレーンとして、虚や滅却師との戦いで活躍を見せた。
マユリは科学者として、結果のためには多少の犠牲はつきものだと思っている。だから、平気で人の命を弄ぶこともできるのだ。
そんなマユリは一護たちが朽木ルキア奪還のために尸魂界に潜入した際、一護たちの敵として立ちはだかる。相手をしたのは滅却師の石田雨竜で、マユリとも因縁があった。
マユリは滅却師の研究として、雨竜の祖父・石田宗弦の肉体を利用して人体実験をおこなっていたのだ。その事実を知ったことで雨竜は、“滅却師の誇りに懸けて”マユリを倒そうとした。
そんなマユリが見せた非道と思える行動が、部下を捨て駒に使ったことだ。雨竜や井上織姫のもとに送り込まれた部下は、いかにも人の良さそうな死神で好戦的ではない。
雨竜たちに優しく話しかけることで油断を誘い、おびき寄せるという役割を担っていた彼ら。その隙を狙ってマユリは近づいた部下を全員爆発させる。そうすることで雨竜たちを巻き込んで殺そうとしたのだ。
自分たちが人間爆弾になっていることなど部下たちは知らなかった。だから、爆死していく仲間を見ていた部下のひとりは絶望する。こんなつもりじゃなかったのに……。
このシーンはかなり胸にくるものがあり、部下たちがあまりにも可哀想に見えた。そして、マユリを許さないという怒りも湧き上がる。そのため、雨竜にやられた時は当然の報いだとも思ってしまった。
その後は、共通の敵が現れたことでマユリの目的や行動が変わり味方となったが、それがなければ単なる残忍な敵キャラで終わっていたのかもしれない。
『BLEACH』には華麗な戦闘シーンばかりではなく、悪役キャラの引いてしまう残虐な行動も数多く出てくる。それによって主人公サイドの眩しさが引き立ち、倒した時の爽快感にもつながっていくのではないだろうか。