『MAJOR』や『シティーハンター』でも登場!子どものための自己犠牲に思わず涙、漫画に登場する「育ての親」の泣けるエピソードの画像
DVD『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』(アニプレックス) ©北条司/コアミックス・「2023 劇場版シティーハンター」製作委員会

 漫画やアニメにはさまざまな父親キャラが登場し、最強の父親だったり、破天荒で手がつけられなかったりと、時には主人公以上に目立つ場合もある。

 その中で特に印象的なのが、子どもと強い絆で結ばれている、育ての親たちだ。こうした父親キャラは、それぞれの事情で家族となった子どもを心から大切に思い、命を懸けられるほどの覚悟さえ持つ。そんなまっすぐな父親だから、子どものほうも口に出さなかったとしても尊敬している。まさに背中で語るという言葉がぴったりだ。

 そこで今回は、実の親代わりに子どもを育てた「育ての親」たちの心に響くエピソードを紹介したい。

※本記事には各作品の内容を含みます

■厳しくも愛が感じられた『MAJOR』茂野英毅

 まずは、満田拓也氏による『MAJOR』(小学館)に登場する茂野英毅から紹介したい。茂野は吾郎の実の父親である本田茂治と同じ球団のチームメイトだった。

 故障をきっかけに投手から打者に転向し、活躍していた本田。しかし、これからという時に頭部にデッドボールを受けたのが原因で他界してしまう。その後、吾郎は父親の婚約相手だった桃子に引き取られ、茂野は吾郎たちをサポートしていくうちに桃子に惹かれていった。

 そんな複雑な環境の中、茂野は桃子と結婚して吾郎の父親となる。茂野としてもどのように吾郎と接していくのかが難しいところだっただろう。しかし、彼はブレることなく父親として吾郎をしっかりと導き続けていた。

 吾郎が右肩を壊した際には左投げに転向するように勧め、サウスポーとしてうまくいかず悩んでいた時には的確なアドバイスをする。おかげで吾郎は左投手としての才覚をあらわしていくのだ。

 そして、聖秀学院高校で吾郎がひとりで気負っていた際には、野球はひとりでやるものではなく仲間を信じてやるものだと気付かせた。しかもそのために、吾郎に内緒で臨時のコーチを引き受けている。

 茂野は見えないところで吾郎を常に応援していて、押し付けるわけでもなく悟らせるようにしていた。そこに愛情が感じられ、吾郎を本当の息子のように大切にしていることが伝わる。

 メジャーリーグ挑戦への後押しなどもしているので、茂野は吾郎にとって無くてはならない存在だ。二人の関係性は、こんな家族の形もあるということを教えてくれた。

■最後まで息子のため動き続けた…『Dr.STONE』石神百夜

 原作:稲垣理一郎氏、作画:Boichi氏による『Dr.STONE』(集英社)の主人公の石神千空の父親・石神百夜も実父ではない。彼もまた親友の子である千空を引き取って育てていた。

 千空が科学を愛するようになったのも百夜の影響が大きい。そしてその知識は、石化から解けた3700年後の世界を生き抜く力にもなっている。

 百夜は地球を離れていたため運よく石化の瞬間を逃れた宇宙飛行士のひとりで、後世に何を残すかを必死に考えていた。それは自身の息子である千空がいずれ目覚めることを信じていたからだ。

 そして、生存に役立つ知識を伝える百物語や千空へのメッセージを記録したレコード、科学の進化に必要な金属であるプラチナを残してくれた。

 千空ならきっと未来を変えてくれる。そう信じていたからこそ、百夜は自身の生涯をかけて託す道を選んだ。彼の想いがしっかりと届いたのだろう、千空はその期待通りに奮闘しており、百夜の目論見は成功といえる。

 そこからも時代を超えた親子の絆を見ることができた。プラチナを手に入れるため天然の砂金を最後まで集め続け、千空の復活を信じて前のめりに倒れて死んでいく百夜の姿はカッコよすぎた。

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