
『名探偵コナン』の劇場版第28作目『名探偵コナン 隻眼の残像』の情報が発表された。公開日は2025年4月18日とされ、早くもファンの間で話題を呼んでいる。
特報映像からは、毛利小五郎と長野県警の刑事・大和敢助を軸に展開される物語であることが明らかになった。さらに、作者の青山剛昌氏が描いた公式イラストには、小五郎が複雑な表情で天を仰ぐ姿が描かれており、なにやら深いドラマを感じさせる。
そこで今回は、『名探偵コナン』の重要キャラクターであり、「眠りの小五郎」の異名を持つ小五郎に焦点を当て、小五郎が活躍する印象深いエピソードを振り返る。
※本記事には漫画『名探偵コナン』の内容を含みます
■小五郎が自力で事件を解決した「小五郎の同窓会殺人事件」
小五郎がコナンに眠らされることなく自力で事件を解決したエピソードといえば、「小五郎の同窓会殺人事件」である。この物語は漫画第9巻に収録されている。
舞台は、米花大学時代の柔道部メンバーが集まる同窓会。その会場となった栃木県の温泉旅館「弁慶」に、小五郎は江戸川コナンと毛利蘭とともに足を運ぶ。しかし、卓球や花火大会で盛り上がる中、事件が発生。柔道部のマドンナ的存在だった堀越由美が、自室で頭を撃ち抜かれて死亡しているのが発見されたのだ。
拳銃を握った彼女の姿から当初は自殺と見られたが、銃創に火傷の跡がないことから他殺と判明。同級生たちが容疑者となる中、友人を殺された小五郎は「必ずオレが暴いてやる!!絶対にな!!!」と誓う。
その姿を見たコナンはあえて小五郎に事件を解かせると決意し、ヒントを与えつつ真相に導いた。犯人は、同級生の中道和志。彼は由美と18年間交際していたが、上司の娘との婚約後に由美から嫌がらせを受け続け、ついに殺害してしまった。
事件を解き明かした小五郎の姿は、普段のコミカルなイメージとは異なり、正義感と責任感にあふれていた。彼の人間性と推理力を存分に感じられる物語だ。
■コナンを凌駕した推理力「見えない容疑者」
「見えない容疑者」は、漫画第37巻に収録されているエピソード。普段は「眠りの小五郎」としてコナンの推理を代弁する立場の小五郎だが、コナンをしのぐ推理力を発揮した回だ。
事件の舞台は、推理ドラマの撮影現場。主演俳優の風見良輝が殺害され、コナンはすぐにトリックを見破り、共演者の南雲暁が犯人という真実にたどり着いた。しかし、小五郎は幼なじみで女優の雨城瑠璃を話があると言って個室に呼び出してしまう。
あわてるコナンだが、実は小五郎は南雲が犯人であることはすでにわかっていた。それだけでなく、南雲と雨城が実の親子であることも見抜き、事件の背景にある複雑な事情を察していたのだ。雨城が南雲をかばっていると看破した小五郎は、彼女に真相を語らせる道を選んだ。
一方で、コナンは2人の関係を愛人関係と誤解しており、洞察力で小五郎に一歩及ばなかった。このエピソードでは、経験に裏打ちされた小五郎の洞察力と、人情味あふれる判断が描かれており、普段の「眠りの小五郎」からは想像できない一面が垣間見える。