■マニュアル車免許取得&実弾での訓練『シティーハンター』鈴木亮平さん
2024年に公開された映画『シティハンター』は、北条司さんによる原作を実写化した作品だ。
主人公の冴羽獠を演じたのは鈴木亮平さんだ。彼が持つ圧倒的な存在感と演技力は、冴羽獠のコミカルさとクールさを見事に表現し、話題を集めた。
鈴木さんといえば役作りのために何十キロも増量したり痩せたりと、ストイックな俳優として知られている。今回もその努力は健在であり、獠が乗る赤いミニクーパーに合わせてマニュアル車の運転免許を新たに取得したという。
また本作では華麗なるガンアクションが見ものだが、それをよりリアルに演じるため、なんと海外に行き、実弾での訓練もおこなったというから驚きだ。
撮影では6種類の銃を使用するシーンがあったため、鈴木さんはモデルガンを購入し、それぞれの銃を完璧に操れるように練習を重ねた。それぞれの銃をノールックで操れるよう、身体に染み込ませるまで練習を繰り返したという。
今回も獠の肉体に近づけるため、鈴木さんは徹底した肉体改造に挑んだ。作中ではパンツ一枚で踊るシーンもあり、引き締まった美しい筋肉美が存分に披露されている。
■乗れなかった自転車も努力でマスター『その女、ジルバ』池脇千鶴さん
2021年に放送された有間しのぶさん漫画原作のドラマ『その女、ジルバ』は、女性の人生を再出発する姿を描いた感動作だ。
主人公・笛吹新を演じたのは池脇千鶴さん。新は40歳で婚約者に裏切られ、職場でもうまくいかないOLだ。悲壮感漂う新を池脇さんは少しぽっちゃりとした印象の疲れ果てた風貌で演じ、そのリアリティある姿に多くの視聴者が引き込まれた。
また成り行き上、急に自転車に乗るシーンを撮ることになったというが、“私、自転車には乗れない”と、池脇さんは嫌がり、その日の撮影はできなかったという。しかし別日にはすっかり乗りこなせるようになっていたそうで、彼女がひそかに自転車の練習をしたことが分かる。
さらに本作ではダンスシーンもたびたび登場するが、池脇さんはこれに対しても徹底的に取り組んでいる。撮影の合間を縫って猛練習を重ね、休憩中でもセットの脇でダンス指導を受けたり、振り付けを何度も確認していたという。
このような池脇さんの体当たりの努力は、作品の完成度を高める原動力となった。結果的に本作は視聴者からの熱い支持を集め、テレビ業界の評論家からも高い評価を得ることに。『第47回放送文化基金賞』の奨励賞を受賞、さらには池脇さん個人でも『演技賞』を獲得している。
「役者魂」という言葉はよく聞くが、これらのエピソードを振り返ると本当に俳優は凄い職業だと思う。
一見華々しい仕事のように見えるが、それを成功させるには影で血の滲むような努力をしているのだろう。こうした努力を知ると、作品に対する見方や感動も一層深まるものである。