佐藤健
佐藤健  写真/ふたまん+編集部

 近年、当たり前のように展開されている漫画実写化のドラマや映画。現実ではあり得ないような世界観の作品も多々存在するが、その内容に違和感を感じないのは、役を演じる俳優たちの再現度の高さにあるだろう。

 その役になりきるため、私たちの知らないところでとんでもない努力をしている俳優たち。配役にあわせて体重の増減をするのはもちろん、必要に合わせた技術を取得しているケースも珍しくない。

 今回は、そんな漫画のキャスティングに向けてとんでもない努力をした俳優たちの衝撃エピソードを紹介したい。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■漫画家役のため…睡眠時間を削って撮影に臨んだ『バクマン。』佐藤健さん

 2015年に公開された映画『バクマン。』は、原作・大場つぐみさん、作画・小畑健さんによる原作を実写化した作品だ。

 高校生漫画家の真城最高(サイコー)と高木秋人(シュージン)がプロ漫画家として連載を目指す姿を描いており、サイコーを演じた佐藤健さんとシュージン役の神木隆之介さんの息の合ったコンビネーションが話題となった。

 漫画家といえば、昔から徹夜をして作品作りをするイメージがある。本作での佐藤さんも、締め切り間近の漫画家を演じるため、あえて睡眠時間を削って撮影に臨んだという。その結果、疲れ切った表情や目の下のクマがリアルに映し出されており、まるで本当に修羅場を経験した漫画家のようだった。

 徹夜状態での撮影は身体の負担も大きいだろうが、佐藤さんのこの体当たりの役作りは作品にリアリティをもたらした。また佐藤さんは本当の漫画家になりきるため、漫画家がよく使用する「Gペン」を使い線を引く練習を繰り返すなど、細かな所作にも気を配っていたという。

■華奢なイメージなのに5kg増『鋼の錬金術師』松雪泰子さん

 映画『鋼の錬金術師』は、荒川弘さんによる漫画を原作にした作品だ。錬金術師であるエドワード・エルリックと弟のアルフォンスが、国家の陰謀と戦いながら失ったものを取り返す旅をするダークファンタジーである。

 本作では、エドワードの前に立ちはだかる強敵・ラストが登場する。ホムンクルスであるラストだが、見た目はウェーブがかった黒髪が美しい、妖しい魅力をもつ女性だ。

 実写版でこのラストを演じたのが、松雪泰子さんだった。普段は華奢で華々しい印象のある松雪さんだが、力強いラストを演じるためになんと5kgもの増量をしたという。しかも役柄のイメージにあわせ、上半身だけ特化して増やしたというから驚きだ。

 松雪さん演じるラストは、見た目はもちろんのこと、原作に見劣りしない冷酷さや威圧感が見事にマッチしていた。メガホンをとった曽利文彦監督も、“(松雪さんが)あのコスチュームになった瞬間、近寄りがたいものがあった”と明かしていたが、妖艶な悪役美女を圧倒的に再現できたのは、松雪さんの身体を張った努力、そして演技力の賜物であろう。

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