■魔王軍不死騎団長からアバンの使徒へ『ダイの大冒険』ヒュンケル
最後に紹介するのは、原作:三条陸氏、漫画:稲田浩司氏、監修:堀井雄二氏の『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』に登場するヒュンケルだ。
ヒュンケルは魔王軍六軍団の一つ、不死騎団を率いる軍団長として登場。かつてはアバンのもとで保護され修行した身でありながら、父のように慕っていたバルトスをアバンに殺されたと思い込み、深い復讐心を抱くキャラとして主人公・ダイの前に立ちはだかった。
その後、バルトスの死の真相を知り、さらにはダイのまっすぐな正義感、マァムの慈愛の心に触れて改心するヒュンケル。しかしその直後、魔王軍氷炎魔団長フレイザードの奇襲を受け、ダイ一行を救うため、自身は溶岩の底へと消えた……。
しかし、ヒュンケルはダイたちの大ピンチに再登場する。気を失い、ハドラーによって放り投げられてしまったマァム。氷で造られた氷魔塔にあわや突き刺さろうとした瞬間、現れたのがヒュンケルだった。死んだと思われたかつての強敵が、マァムを抱きかかえて現れる展開には、当時の読者として震えた。
バルジ島での決戦を終えたダイ一行。堅物なヒュンケルは王国を滅亡に導いた元魔王軍の戦士として責任を取ろうとする。しかしレオナ姫より「残された人生のすべてを アバンの使徒として生きることを命じます」と寛大で粋な判決が下り、涙していた。
その後もヒュンケルは、アバンの使徒としてダイたちとともに戦い続ける。まさしく代表的な“光落ちキャラ”であろう。
今回は敵から仲間へと「光落ち」したバトル漫画の強キャラたちを紹介した。敵として圧倒的な強さで主人公たちを苦しめたキャラクターが、仲間となり物語をさらに盛り上げるこの展開には毎度ワクワクとさせられる。
今回紹介しきれなかったが、ほかにも数えきれないほどの魅力的な光落ちキャラが存在する。あなたの心に残るキャラクターは誰だろうか?