2024年7月から放送が始まった『ウルトラマンアーク』(テレビ東京系)が最終回を迎え、1月25日からは『ウルトラマン ニュージェネレーション スターズ』が放送開始となる。国民的ヒーロー・ウルトラマンの世界は「ニュージェネレーション」シリーズに突入してから、さらなる広がりをみせた。
そして60年近い歴史を持つウルトラマンには、テレビシリーズや映画以外にも数多くの関連作品があり、なかにはストーリーが異色なもの、壮絶なものも存在する。とりわけインパクトが強かったのが、かたおか徹治氏によるマンガ『ウルトラ兄弟物語』(小学館)だ。
※記事の性質上、ストーリーの核心部分に触れています。
■子どもには衝撃的…数々のウルトラ族が犠牲に
1979年から『コロコロコミック』(小学館)で連載された同作は、ウルトラ兄弟をはじめとするウルトラ族の激闘を描いたもの。暗黒勢力との戦いを西部劇仕立てで描いた「決闘ウルトラ兄弟編」で新ウルトラマン(現:ジャック)が酒浸りになって酔っ払っている場面は、その後、ネットミームになって広く知られるようになった。
だが、本当に壮絶なエピソードは、ウルトラ族同士が血で血を洗う集団抗争を繰り広げる「ウルトラ一族の大反乱編」である。
ウルトラマンキングに「宇宙警備隊」の大隊長就任を反対されたウルトラの父の兄、ウルトラマンジャック(その後のジャックとは無関係)が仲間たちと「新宇宙警備隊」を結成。宇宙の平和を名目に、降伏した星まで破壊してしまう「悪星人狩り」を始めたことから、ウルトラの父率いる宇宙警備隊と全面抗争に突入する。
登場する宇宙人や怪獣たちは、どれほど悪そうな見た目をしていても被害者であり、ジャック率いる新宇宙警備隊に皆殺しにされてしまう。あまりの暴虐ぶりを見かねてついに立ち上がったウルトラの父とウルトラ兄弟は、同胞のはずの新宇宙警備隊を次々と倒していくが、仲間のウルトラ族も次々と犠牲になったり、ゾフィーが吊り天井で押し潰されそうになったりと、さんざんな目に遭わされる。
ウルトラセブンは新宇宙警備隊に参加した同じレッド族の後輩と再会し、ワイドショットの打ち合いで倒したものの、「どうして仲間同士が戦わねばならんのだっ」と嘆く場面もあった。
ウルトラの父はジャックとの戦いを制すが、ジャックは「おまえのやり方では、いつまでたっても宇宙の平和はこんぞ」と言い残して死んでいく。最後の見開きは、ジャックの亡骸を抱えて飛ぶウルトラの父たちに、「ウルトラ史上数ある闘争の中で、この勝利ほどにがく、むなしいものはなかった……! ああ、宇宙警備隊!」というナレーションが被さるというもの。
あからさまな内ゲバと粛清を描くビターな展開に、読者のちびっこたちは大きなショックを受けたのではないだろうか。