「しあわせトランプ」に「ヘソリンガス」、「うつつまくら」も…危険につき取扱注意『ドラえもん』に登場する実は「ホラーなひみつ道具」の画像
てんとう虫コミックス『ドラえもん』第44巻(小学館)

 藤子・F・不二雄さんの『ドラえもん』には、あったらいいなと思うひみつ道具がたくさん登場する。その多くはのび太を助けるためのものだが、なかには恐ろしい影を秘めた道具も存在する。

 そこで今回は、よく考えると恐ろしいホラーテイストのある道具を紹介したい。

■憎き相手を陥れる道具にもなる「しあわせトランプ」

 まずは、てんとう虫コミックス27巻に掲載されている「しあわせトランプの恐怖」のエピソードを紹介したい。

 のび太が部屋で見つけた「しあわせトランプ」は、持ち主の願いを1つ叶える代わりに1枚カードが減っていき、最後のジョーカーが残ったとき、それまでの埋め合わせで不運が束になって襲ってくるという危険なひみつ道具だ。

 不運を恐れたのび太はトランプをスネ夫に譲るのだが、そこからさらにジャイアン、ほかの子どもたちへと渡り歩いていく。そしてのび太が取り返したとき、トランプは残りわずか2枚となっていた。

 なんとか手放そうとするも、どうしてもトランプは戻ってきてしまう。途方に暮れたのび太だったが、最終的に最後の1枚となったトランプはひったくり犯によって奪われた。

 ジョーカーを手にした犯人は犬に噛まれどぶに落ち、交通事故に遭って警察に捕まるという不運に見舞われ、物語は終了する。

 一応のび太はことなきを得て良かったというエピソードだが、このトランプは使いようによっては大変危険だ。もし憎い相手がいれば、その相手が最終的にジョーカーを持つように仕向けることもできるし、さらに自分が願いを叶え続けた後にトランプを渡せば、相手は大きな不運に見舞われる。

 そう考えるとこのトランプはまさに呪いのカードであり、悪意を持った人が所有してはいけない禁断のひみつ道具だと言えるだろう。

■やがて影の世界に取り込まれる…!? 影を切るはさみ

 コミックス1巻「かげがり」のエピソードに登場する“影を切るはさみ”は、人の影を切り取り、その影に命令できる便利なひみつ道具だ。しかし30分経ったら、のりで本体と影をくっつけないと影が自我を持ってしまい、およそ2時間で本人を乗っ取ってしまうという恐ろしい一面がある。

 のび太は切り取った影に草むしりやお使いを任せるが、うっかり30分以上放置してしまい影は暴走を始める。それと同時にのび太の体はうす黒く変色し始め、影に乗っ取られそうになってしまうのだ。

 ドラえもんは影を捕まえるためのひみつ道具「かげとりもち」を使って捕まえようとするが、影はすばしっこく逃げ回るため捕まえられない。最終的にママの影を利用してのび太の影を捕まえ、元に戻すというエピソードだ。

 このはさみは使いようによっては便利な道具だが、一定時間経つと影人間が自我に目覚めるというのがなんとも恐ろしい。しかもその自我に悪の部分が目立っていたら……? 今回ののび太の影のように、悪さをするかもしれない。

 また、徐々に自分の身体が黒くなり、やがて影の世界に取り込まれるというのも怖い。ホラー映画では自分のクローンなどが暴走し、本体が闇の世界に囚われるような話も見られる。この“影を切るはさみ”は使い方を誤ると、自分の生死にもかかわる恐ろしいひみつ道具なのである。

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