『H×H』新人狩り3人組に『幽☆遊☆白書』の垂金権造…冨樫義博作品に登場する卑劣なゲスキャラたちの「悪意に満ちた問題行動」の画像
DVD『 HUNTER×HUNTER Vol.1』(C)VAP・日本テレビ・集英社・マッドハウス

 冨樫義博作品と言えば『HUNTER×HUNTER』のゴン=フリークスや『幽☆遊☆白書』の浦飯幽助に代表されるように、強烈で個性的なキャラクターが魅力だ。そんな作品のなかには、卑劣すぎるゲスキャラもしばしば登場する。彼らゲスキャラたちは、物語を盛り上げるための重要なスパイスであり、時には読者に強烈なインパクトを与える存在だ。

 今回は、冨樫作品である『HUNTER×HUNTER』、『幽☆遊☆白書』、そして『レベルE』の中から、とくに印象深い悪意に満ちたゲスキャラたちの問題行動を振り返っていきたい。

■『HUNTER×HUNTER』天空闘技場の新人狩り3人組

 まずは『HUNTER×HUNTER』から。コミックス7巻「天空闘技場編」に登場する“新人狩り”の3人組を紹介しよう。

 天空闘技場200階にいる闘士であるサダソ、リールベルト、ギド。過去に能力者の“念”による洗礼を受け、車椅子や鉄製義足の姿となった彼らは、新人を狙って点数を稼ぎフロアマスターになろうと企んでいた。

 この3人組はゴンとキルアを標的とし、八百長試合を企てようとしていた。そして2人の友人である少年・ズシを拉致し、脅迫して試合を組もうとする。だが、その場にキルアが居合わせたため、ズシの解放と交換条件で試合が組まれることとなった。

 3人組も一応は天空闘技場200階クラスまで登ってきたそこそこの格闘家であろうに、性根が腐りきっている。そして「これっきりだぜ」というキルアとの約束を無視し、ゴンにも同じく脅迫の電話をかけ試合を組んだため、キルアの怒りを買ってしまうことになる。

 そして、サダソは個室にいたところをキルアに急襲され死を覚悟し、自ら姿を消した。一方のリールベルトとギドはフロアマスターになることを諦めきれず、試合で真っ向勝負を選び、ゴンとキルアに完敗するのであった。

 3人を逆に脅迫するキルアはカッコ良かった。とくに「言っとくぜ…ルールは守れよ 何でもアリになったら 結局 得するのはオレ達なんだぜ?」というセリフにはしびれた。3人組は悪人とはいえ所詮アマチュア、暗殺一家ゾルディック家のご子息であるキルアを相手に裏での駆け引きをするべきではなかったのだ。

■『幽☆遊☆白書』雪菜を監禁していた垂金権造

 『幽☆遊☆白書』コミックス6巻「霊界探偵編」に登場した垂金権造は、その見た目からゲスを具現化したようなキャラだった。

 あくどいやり方で金儲けをしている宝石商の垂金は、飛影の双子の妹である雪菜を捕らえ、彼女が流した涙で作る“氷泪石”でさらに財を成していた。

 その貴重さから数億円で取引される氷泪石を作り出すため、垂金は雪菜に対し、ありとあらゆる拷問をおこなっていた。それは身体的な苦痛はもちろん、雪菜を助けようとした人間を彼女の目の前で容赦なくハチの巣にして殺したり、可愛がっている小鳥を目の前で殺すといった精神的な苦痛も与えていたのだ。「ひゃあははそうだァ もっと泣け」とヨダレを流して喜ぶ垂金の姿は、本当に胸糞だった。

 その後、垂金は雪菜救出に幽助と桑原和真が屋敷に乗り込んできたことを利用し「侵入者が勝つか戸愚呂兄弟が勝つか」という賭け試合を開催。これで一儲けしようと企んだことが、彼の運の尽きであった。

 垂金は、左京に「侵入者(幽助と桑原)が勝つ方に66兆2000億円」を賭けられ、結果はまさかの戸愚呂兄弟敗北に終わる(…それも左京が仕組んだ八百長試合だったのだが)。

 賭けで大損し慌てふためいていた垂金は飛影に思い切り殴られたうえ、戸愚呂弟に頭部を蹴り飛ばされ絶命するという彼に相応しい最期を迎えている。

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