■「すべて…あずけてください…」ジェローデル
ジェローデルはオスカルが近衛連隊長を務めていたときの副官であり、のちにオスカルの許婚として登場する男性だ。立場的にはオスカルの部下でありながら、美しいオスカルに対し甘い囁きで迫っていく。
ジェローデルは長い間オスカルに憧れていた。彼女への最初のアプローチでは「さいしょから……そしてどんなときでも わたしはあなたを女性として見ることしかできなかったのですよ」と迫っており、男性としての生き方に揺らいでいたオスカルをドキリとさせている。
その後、自暴自棄になったオスカルに対し「あなたの長い長い 苦しみも 悲しみも 涙も…すべて…あずけてください…」と言い、愛を伝え、オスカルの唇を奪うのであった。
その甘美な囁きと自信に満ちた振る舞いには、女性への熟練した接し方が滲み出ている。ジェローデルのそんなアプローチは、実はオスカルが初めてではないのでは?と勘ぐってしまうほどの自信のあるものであった。
■「殺されたってかまわない!おまえを愛している!!」アンドレ
最後はもちろん、情熱的な愛の名言をたくさん残してくれたアンドレ・グランディエを紹介したい。オスカルの幼馴染であり従者であるアンドレ。身分違いの恋に悩む彼は本作において、ひときわ情熱的なセリフを語るシーンが多い。
アンドレが初めて自分の気持ちをぶつけたシーンでは「殺されたってかまわない! おまえを愛している!!」と、情熱的にオスカルの唇を奪っている。その後、傷つくオスカルの姿を見て反省するアンドレだったが、“だけど…愛している 死んでしまいそうだ”と、彼女の前で涙を流すのであった。
この後もアンドレは「だめなのか……!? どんなに愛しても…」と号泣してみたり、「おれの…オスカル…」と気持ちを爆発させ、オスカルと心中を試みたりする。
紆余曲折を経てアンドレは最終的にオスカルの愛を勝ち取り、一夜をともにする。自ら言い出したにもかかわらず逃げ出そうとしたオスカルに対し「おれは待った! じゅうぶんすぎるほど待った オスカル もう待てない!!」と、自分の気持ちを素直に伝え、二人は結ばれる。
アンドレの真っ直ぐで情熱的な愛情表現は『ベルサイユのばら』のなかでも別格だ。彼が口にした熱いセリフの数々が、物語をより情熱的なものにしていることは間違いないだろう。
振り返るだけでため息が漏れてしまう『ベルサイユのばら』の数々の情熱的なセリフ。ちなみに女性である筆者だが、このようなセリフを今までに一度も言われたことがない……。いや、むしろ言われたことのある人なんてごく少数ではないだろうか。
これらの情熱的なセリフは、『ベルばら』の壮大な世界観があってこそ輝くもの。現実は大げさに感じてしまいそうなセリフも、この物語のなかでは自然に心に響いてくるのだ。
果たして劇場版アニメでも新たな甘い囁きが聞けるのだろうか。今から楽しみである。