
鳥山明氏の傑作『ドラゴンボール』(集英社)の世界には、高い科学力を誇ったり、圧倒的な戦闘力を持っていたりと、さまざまな宇宙人が存在する。
劇中では地球人だけでなく、いろいろな宇宙人の活躍が描かれているが、実はもっとも優れた能力を持っているのは「ナメック星人」ではないだろうか。
もっとも有名なナメック星人といえば、言わずもがなピッコロだが、物語が進むにつれて悟空やベジータの引き立て役に甘んじることも多くなった。
しかし、物語を通してみるとナメック星人が秘めたポテンシャルは底しれない。そこで今回は、ナメック星人の潜在能力について掘り下げていきたい。
■地球人よりもはるかに高い技術力も……
『ドラゴンボール』の地球には、現実には存在しない便利な発明品がいくつも存在し、その多くはブルマやその父であるブリーフ博士が開発している。ごく一部の地球人が作ったものではあるが、地球の高度な科学力がうかがえる。
しかし、ナメック星人の科学力は地球人のそれをはるかにしのぐ。ブリーフ博士が開発した最新鋭のロケットで到着まで4000年以上かかる距離を、ナメック星人が開発した宇宙船は、わずか1か月程度で到着したほどだ。
さらに科学技術とは異なるが、ナメック星人にはドラゴンボールを作る能力を持った者もいる。ナメック星人のなかでも一握りの天才のみが作れるようだが、ほかの宇宙人にはない特別な能力なのは間違いないだろう。
ただし、悟空たちがナメック星を訪れた際、すでに高度な科学力は失われていた。「アジッサ」と呼ばれる樹木を栽培しながら暮らす、自然の多いのどかな星だった。ナメック星は過去に異常気象で甚大な被害を受け、そのときに科学技術は失われてしまったという。
現在は失われたにせよ、ナメック星人にはそれだけの科学力を持ちうるだけの頭脳の持ち主がいたということを忘れてはならない。
■戦闘民族サイヤ人より上? 戦闘面に長けた存在も
さまざまな技術を持つナメック星人は、戦闘に不向きかといえばそんなことはない。地球に育ったナメック星人のピッコロをみれば一目瞭然だ。
ナメック星人は、大きく「龍族」と「戦士タイプ」に分けられる。龍族の一部と戦士タイプは戦闘力が高く、フリーザが率いてきた下級の兵士程度ではまったく歯が立たなかった。
しかもそれだけではなく、デンデのように高い治癒能力を持った者や、最長老のように潜在能力を引き出す特殊な力を持つ者もいて、幅広い分野での活躍が可能だ。
また、劇場版『ドラゴンボールZ 超サイヤ人だ孫悟空』には、界王から「フリーザや超サイヤ人ですらかなわないかもしれない」といわれた超ナメック星人の「スラッグ」も登場。
セル編で神と同化した(善悪に分かれる前の状態に戻った)ピッコロは、それだけで並みの超サイヤ人よりも強くなった。もしも神とピッコロ大魔王が分離せずにいたなら、ベジータやフリーザを軽く撃退できていたのかと思うと、そんな世界線も見てみたかった気もする。