■拳王侵攻隊による横暴

 最後はラオウが率いる拳王軍の非道な制圧を紹介したい。ラオウは覇権を握るため、自らの軍勢を侵攻させて各地を統治していた。

 ラオウ自身は無駄な殺生を好まないが、調子に乗っている部下たちは違う。自分たちが強いと勘違いをして、村人をまるで奴隷のように扱っていたのだ。

 そんな部下の餌食になってしまったのがリンとアイリが訪れた村で、襲撃されて拳王への忠誠心を無理やり試される。拳王に従わないと炎で熱された鉄板の上に投げ込まれ、従うなら自分で体に焼印を入れなければならない。村人も言っていたように、まさに地獄だ。

 そんな中リンとアイリは身を潜めていたが、侵攻隊に見つかりそうになってしまう。するとリンは、アイリを隠して自ら囮となって飛び出した。そして、雑魚のひとりに殴られて見せしめのように村人の前に引きずられると、拳王服従の選択を迫られる。

 リンは即答で従うことを拒否して、焼かれた鉄板の上に自ら進んで歩み出す。そんな悪には従わないという強い意志と、命を投げ出す覚悟には誰もが心を打たれた。ギリギリの所でレイが到着すると安心したのか、ずっと気丈に振る舞っていたリンはポロポロ涙を流す……。

 それを見たレイは、読者の気持ちを代弁するかのように、「てめえらの血は なに色だーーっ!!」と叫んでいた。

 そして次の瞬間、リンをひどい目にあわせた雑魚たちは南斗水鳥拳によってバラバラに切り刻まれており、そのふさわしい末路には気持ちがスッキリした。

 

 信じがたい悪行によって読者に憎まれる『北斗の拳』のクズキャラたち。しかし、彼らの存在がストーリーを盛り上げ、ケンシロウたちのかっこよさを引き立てていることも間違いない。

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