■ラクスが愛するキラへ授けた黄金の翼
合体することでMSになるのではなく、MSと合体することで性能が強化されるパターンも存在する。
『機動戦士ガンダムSEED』では、第47話(リマスター版では45話)「悪夢は再び」にて大型兵装ユニット「ミーティア」が登場する。地球連合軍が放った核ミサイル群へ応戦するため、母艦であるエターナルから解き放たれたミーティアがフリーダムガンダム、ジャスティスガンダムと合体するのだ。
この直後に流れるBGMがフリーダムの初登場時にも流れたT.M.Revolutionの楽曲『Meteor -ミーティア-』。合体の描写自体は、各機の背部に接続されるだけのシンプルなものではあるが、逆境を跳ねのける一連の流れがカッコ良く、胸アツシーンとして強く印象に残っている。
そしてこの演出を踏まえて、2024年に公開された劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の「マイティーストライクフリーダムガンダム」も紹介したい。
物語終盤で窮地に立たされる、キラ・ヤマト搭乗のストライクフリーダムガンダム弐式。敵艦から無数のミサイルが放たれた直後、ラクスが搭乗するプラウドディフェンダーが母艦にいるアルバート・ハインラインの補助を受け、猛スピードでストライクフリーダム弐式と合体する。
あえなくミサイルやビームの猛火にさらされたかと思いきや、爆炎のなかから黄金の翼を広げたマイティーストライクフリーダムが姿を現すのだ。そしてこの時流れるのが、もはや勝ち確BGMといえる『Meteor -ミーティア-』で、鑑賞時は誰も言葉を発さないにしろ、劇場内の熱気が一段階上がったことがわかるほどの演出であった。
キラとラクスの「愛」が色濃く描かれた本作において、これまでにないほど明確な2人の協力があったからこその勝利。合体からの一連の描写、展開、BGM、歴史など、全ての要素において心が震えてしまう、往年の『SEED』シリーズファンにとっても忘れられないシーンになったのではないだろうか。
シリーズ内で繰り返し合体が描写されることはあれど、『ガンダム』シリーズに登場する機体全体で見れば、合体をするMSはさほど多くはない。
そんななか、ド派手かつ繊細に巨大な機械がガシャガシャと合体していく様子は大人になっても興奮しきりで、ロマンを感じながら在りし日の心を思い出させてくれる非常にありがたいシーンなのである。