■行き過ぎたガンダム愛を持つ男も…!?
最後はアニメ『機動戦士ガンダム00』シリーズに登場した「グラハム・エーカー」を紹介しよう。グラハムは初登場時、主人公「刹那・F・セイエイ」が所属する「ソレスタル・ビーイング」の敵対組織である「ユニオン軍」のエースパイロットだった。
彼のガンダムに対する執着は尋常ではなく、戦場でガンダムと相まみえると「抱きしめたいな、ガンダム!」「この気持ち、まさしく愛だ!」などとガンダム史に残る迷言を連発する。
そんなグラハムは、劇場版『機動戦士ガンダム00 A wakening of the Trailblazer』にも登場。外宇宙から飛来した新たな脅威「地球外金属生命体ELS」との戦いに身を投じる。
刹那が乗る「ダブルオークアンタ」がELSと「対話」するため、ELS中枢へと飛び込む道を作り出す役割を買って出たグラハム。ELSに機体を侵食されていくなか、「これは死ではない、人類が生きるための……!」という言葉とともに宇宙に散った。
グラハムの壮絶な死に様に心を動かされたファンも多かったが、2018年に開催された『機動戦士ガンダム00』の10周年記念イベント「ガンダム00 Festival 10 “Re:vision”」の朗読劇にて衝撃の事実が明らかになる。
劇場版で完全に死んだと思われていたグラハムが「身体をELSと同化させることで、生存していた」ことが判明し、多くのファンを驚愕させた。
しかもELSに旅立つ刹那から自身が乗っていたガンダムの改修機を託され、ついに執着していたガンダムに搭乗することにもなった。
グラハムの乗機となった「ガンダムエクシアリペアIV」の「METAL BUILDシリーズ」の解説には、「自分とガンダムの小指には《赤い糸》があったと確信。この機体に“グラハムガンダム”と名づける」と書かれている。
筆者の知るかぎり、シリーズを通して彼ほどガンダムを愛した人物はいないように思える。10年越しの復活劇は、グラハムのガンダム愛が起こした奇跡だったのかもしれない。
ガンダムシリーズでは予想もしないキャラが突然の死を迎えることはよくあるが、逆に“死亡フラグ”を乗り越えて生還するケースは珍しい。シリアスな物語だけに、ご都合主義といった意見もあると思うが、皆さんはどのように受けとめただろうか。