漫画の実写化作品では、キャラクターの造形はもちろんのこと、作中で披露されるアクションの再現度も注目される点だろう。原作で描かれるキャラクターたちの圧倒的な素早さ、勢い、身のこなしを見事に再現する俳優たちには、本当に脱帽してしまう。
そこで今回は、漫画実写化作品で躍動溢れるシーンを繰り広げた女優たちの超絶アクションの数々を見ていこう。
■スクリーン上で躍動する肉体美は圧巻の一言…『今際の国のアリス』土屋太鳳
2010年から『週刊少年サンデーS』(小学館)にて連載が開始された、麻生羽呂さんの『今際の国のアリス』。
落ちこぼれだった主人公が突如迷い込んだ異次元の世界を舞台に生死をかけた数々のゲームに挑んでいく作品で、趣向を凝らしたデスゲームと生き残りをかけて戦う人々の群像劇が絡み合う重厚なストーリーが展開されていく。
本作はその高い人気から、2020年よりNetflixにて実写版ドラマが放送されており、主人公の青年・有栖良平に俳優の山﨑賢人さんが、そして、もう一人の主人公とも呼べる女性・宇佐木柚葉役に女優の土屋太鳳さんが抜擢された。
土屋さん演じる宇佐木は“クライマー”として数々のサバイバル知識を身につけた女性で、その経験を活かし「今際の国」を生き延びていた。作中、卓越した身体能力でピンチを突破していく宇佐木だが、ドラマでは土屋さんがその高い運動神経を駆使し、原作さながらのド派手なアクションの数々を再現している。
とくにシーズン2では、積み重ねられたコンテナの上を全力疾走し、敵を回避するために別のコンテナへ飛び移るといったアクションシーンがある。
高所から意を決して大ジャンプを決める姿は、観ているだけでヒヤリとしてしまうスリリングな映像だ。シーズン2の大きな見どころでもあるこのシーン、実はテストなしでワイヤーをつけ、そのまま本番をおこなっていたという。「かなりの緊迫感の中でやりました」とのちのインタビューで語っていた土屋さんだが、その緊張感すら味方にして演技に活かしていたようにも思えるほど素晴らしいアクションだった。
■奇抜な武器を鮮やかに使いこなす最強の女剣客…『無限の住人』戸田恵梨香
1993年から『月刊アフタヌーン』(講談社)にて連載された、沙村広明さんの『無限の住人』。本作は不老不死の肉体を持った一人の剣客が、幾多の個性的な剣士たちを相手に熾烈な戦いを繰り広げていく時代劇作品だ。
2017年には木村拓哉さんを主演とした実写版映画が公開されているが、この映画で凄まじいアクションを見せつけたのが、作中最強とも呼ばれる女剣客・乙橘槇絵を演じた戸田恵梨香さんである。
主人公・万次をはじめ、漫画作品ならではの奇抜な武器、流派、闘法が登場するのが特徴の本作において、戸田さん演じる槇絵は、長刀と三節棍を掛け合わせた特殊な形状の武器を操り、舞のように優雅な動きをしながら、ときに緩やかに、ときに苛烈に相手を切り刻んでいく。
実は戸田さん、本格的なアクションに挑戦するのは本作が初めてだったという。アクションをやったことがないことに恐怖心を感じていたというが、撮影では主演の木村さんから学びつつ、槇絵の動きをものにしていったそうだ。
さらに彼女は、槇絵の強さのみならず、彼女が抱く悲しみや苦しみ、か弱さ、儚さを表現できるよう内面の役作りを続けていった。
その結果、戸田さんは槇絵が得意とする凶暴さと優雅さを兼ね備えた独特の殺陣を見事に再現。周囲の環境すら利用し、ときには体術すら織り交ぜながら万次を追い詰めていくその姿は、まさに最強の剣客だ。説得力を秘めたアクションシーンは必見である。