■心に響く義理親子の絆…
最後は、2009年から『主任がゆく!スペシャル』にて連載されていた桜沢鈴さんによる漫画『義母と娘のブルース』。2018年からは綾瀬はるかさん主演の同名ドラマが放送され大ヒットを記録したが、原作は「泣ける4コマ」として話題を集めた、義母と娘の絆と成長を描くハートフルな名作だ。
キャリアウーマンの岩木亜希子は、病で余命の短いシングルファーザーの宮本良一から「一人娘のみゆきのため」の契約結婚を持ちかけられ、義母となった。亜希子はビジネスにはめっぽう強いが、それ以外はかなり疎い。ゆえに、みゆきとの関係もなかなか深まらない。
だが、彼女はめげなかった。ビジネスのごとく相手を念入りにリサーチして距離を近づけようとし、会社もスパッと辞めて家庭に向き合っていく。
次第に良一との間にも愛が芽生えるが、良一は命を落としてしまう。みゆきは天涯孤独になると覚悟し、涙も見せなかった。そんな姿にショックを受けた亜希子は、孤独を感じさせていたことを詫びて「私があなたのお母さんになる」と告げ、二人は改めて本当の親子になった。
数年後、みゆきはビジネス用語に強い天然な高校生になり、同級生・ヒロキとの恋愛にウキウキ。娘の成長に寂しさを覚える亜希子にもパート先のパン屋の店長・麦田章と恋のチャンスが訪れるが、彼女は一人身を貫きコンサルタント会社を立ち上げ社会復帰を果たす。
そしてクライマックス。みゆきはヒロキと結婚して3児の母となり、バリバリ働く亜希子とは少し疎遠になっていた。そんな矢先、亜希子が倒れてしまう。先が長くないと医者に告げられたことで、みゆきは同居を提案。折り合いの悪いヒロキの母にも協力を要請し、最期を看取る決断をした。そして、二人を見守っていた良一が迎えにくると、亜希子は会いたかったと抱きつき、天に召されていくのだった。
全体的にサクサクと進むが、二人の人生の全てが凝縮されており、深まっていく絆が涙を誘う。血の繋がりよりも強い愛に感動する物語だ。
今回紹介した3作品は、どれもヘビーな設定だけでなくギャグもあるため、重苦しい雰囲気ばかりではない。笑って泣けて考えさせられる、大人にこそ刺さる名作だ。