2024年12月28日から始まった『第103回 全国高校サッカー選手権大会』。2025年1月13日に決勝戦を迎える本大会のゆくえを見守る全国のサッカーファンは多いだろう。
そんな本大会に感化され、こたつに入ってサッカー漫画を読みたくなるものだが、筆者のような昭和世代からすると、やはり高橋陽一氏の『キャプテン翼』が印象深いものだ。
本作は日本にサッカーブームを巻き起こしたサッカー漫画の金字塔で、当時、作中に登場する必殺技を真似しようと試みた子どもも多かった。
そこで、連載当時、子どもたちが憧れ、真似した必殺技シュートを振り返っていこう。
■何としても真似したかった…虹を描く「ドライブシュート」
まずは主人公・大空翼の必殺技「ドライブシュート」だ。
小学生6年生で南葛SCのキャプテンとなり、チームを率いて全日本少年サッカー大会で見事優勝を飾った翼。専任コーチとなっていたロベルト本郷にブラジルへ連れて行ってもらい、本場のサッカーを教えてもらう約束をしていた。
しかし、自分の都合で家族と離れることになる翼を憂い、ロベルトは単身ブラジルに帰国。自身の考えを記したノートを翼に託し、彼の成長を願う。
その後、翼はそのノートに書かれていた縦回転のかかるロングシュートをマスターしようと練習に励む。これこそが「ドライブシュート」だった。
このシュートは、足腰に強烈な負担がかかるという。翼が全国大会で初披露したのは初戦の東一中戦だったが、失敗に終わっている。対戦相手となった早田誠は、ドライブ回転は自らも試したができなかったため、横回転がかかる「カミソリシュート」を磨いていた。
その後、練習の末、ついに完成した「ドライブシュート」は全校の猛者たちも驚くほどの威力で、その回転は虹を描き、東邦学園のGK・若島津以外は反応できないほどのものだった。
この「ドライブシュート」はとにかくカッコ良く、当時、筆者も真似しようとしたが、空振りしたり、ただの山なりのシュートで自然落下してしまい、どうやってもできなかった。
だが、中学時代、これを会得したサッカー部の友人がいた。やり方を聞いてみると、ボールの上側を強く蹴るという。友人の放つシュートは翼ほどではないものの、山なりにドライブ回転がかかって威力を保ったまま落ちてきていて驚いた。
ちなみに、当時高校サッカー部に所属していた筆者の兄も、この「ドライブシュート」を披露してくれたことがある。中学生の友人とは威力が違い過ぎて、怖くて動けず、筆者の顔面に直撃して倒れそうになった……。原作に登場するGKたちが動けなかった気持ちが少し体験できたものだ。
■体育館のマット上で実演したが…ネーミングも抜群だった「スカイラブハリケーン」
『キャプテン翼』に登場する大技といえば、秋田出身の双子の立花兄弟を取り上げないわけにはいかないだろう。政夫と和夫は相性抜群で、小学生編の花輪SSではゴールポストを利用して和夫が飛び、空中に上がったボールをヘディングで落とし、走り込んできた政夫が強烈なシュートを放つという「トライアングルシュート」で南葛SCを苦しめた。
その後、中学生編では花輪中に所属した2人。V3を狙う王者・南葛中戦に向け、新しいコンビ技を開発していた。
まず、兄弟のどちらかが(政夫と和夫の区別がもはやつかない)下になって両足を上に向け、ここにもう一方がジャンプして飛び乗り、足裏を合わせる。そこから二人の脚力でジャンプ力を上げ、上に乗った側が空中に飛び上がって味方のセンタリングに合わせ強烈なヘディングシュートを決めるのだ。
この必殺技こそが「スカイラブハリケーン」だ。抜群のネーミングセンスだった。しかも、高さは自由自在で低空飛行にも対応可能。シュートだけでなく、パスカットもできる優れ技だ。
さらに全日本ジュニアユースでは巨漢のDF・次藤洋の足に2人が乗り、そのパワーでツインシュートを放つ「スカイラブツインシュート」というトライアングル技まで登場した。
さて、この「スカイラブハリケーン」にも憧れたが、ジャンプをするので危ないため、体育館のマットを用いて特訓(!?)に励んだものである。『キャプ翼』好きな友人たちと一緒に再現しようとするのだが、どうしても両足がうまくドッキングしない。
体育館シューズを脱ぎ裸足になって試してもみたが、どうしても足がずれてしまい、寝ている政夫役の筆者の股間に直撃し悶絶したものだ……。「大丈夫か、兄ちゃん!」と友人はセリフまで和夫になり切っていたが、大丈夫なわけないだろう。
ちなみに、今回調べてみたところ“プールで真似をしてみた”という猛者たちもいるようだが、これは学生当時には思いつかなかったな……。