■本家のおやっさんや、チビノリダーの存在で雰囲気もほっこり
『仮面ノリダー』では、とんねるず以外の出演者たちも作品を盛り上げている。まずは本家の『仮面ライダー』にも登場した小林昭二さんだ。
小林さんが演じるのは喫茶店アミーゴのマスター・立花藤兵衛。小林さんは本家『仮面ライダー』でも同名の役柄で登場しており、ノリダーを陰ながら支える立場なのも同じ。「おやっさん」と呼ばれ親しまれているのも、本家同様だ。
ゆえに、小林さんの登場シーンには、本家『仮面ライダー』へのリスペクトが滲み出ており、どんなふざけた展開のなかでも絶妙なリアリティが加わる点が特徴だ。コントでありながらもおやっさんが画面に現れると、たちまちヒーロー番組のような空気感が漂う。彼の重厚な演技と、親しみやすいキャラクターがそうさせていたのだろう。
そしてもう一人欠かせない存在が、当時5歳であった俳優の伊藤淳史さん演じる「チビノリダー」だ。チビノリダーは、仮面ノリダーがピンチのときに呼び出す子どもの戦士である。
チビノリダーは、たどたどしい言葉と行動でタカさん演じる怪人と対峙していく。しかしそのパワーは強く、小さなパンチ1つ繰り出すだけで怪人が痛がるのが面白かった。しかしそうかと思えばキレた怪人が大人げなくちびノリダーを襲う演出もあり、物語をさらにユーモラスにさせていた。
作中、チビノリダーはノリさんやタカさんに抱っこされるシーンも多かった。2人が幼いチビノリダーを大切に抱えながら戦う姿は微笑ましく、温かみにあふれたシーンだったように思う。
『仮面ノリダー』はお笑い番組の枠を超えたヒーロー作品である。本家『仮面ライダー』をリスペクトしつつも、斬新な着ぐるみや、アドリブ満載の掛け合いなど、随所にお笑い要素を融合させた異色の作品だ。
残念ながら現在はDVDや配信などもなく作品を見ることはできないが、「もう一度観たい」というファンは少なくないだろう。29年ぶりに行った武道館ライブのように、いつの日か『仮面ノリダー』も復活するかもしれない。その日を楽しみに待ちたい。