「再放送してほしい…」パロディなのに本格派!『とんねるずのみなさんのおかげです』が生んだ名作コント『仮面ノリダー』に夢中になった日々の画像
とんねるず石橋貴明(右)と木梨憲武 写真/ふたまん+編集部

 2024年11月8日、9日に、29年ぶりに日本武道館でライブを行った「とんねるず」。代表曲『情けねえ』からスタートした本公演には多くのファンが詰めかけ、その衰えを感じない圧倒的なパフォーマンスは大きな話題となった。

 そんなとんねるずの二人が、一世を風靡した番組といえば、『とんねるずのみなさんのおかげです』(フジテレビ系)だろう。そのなかの1コーナーである『仮面ノリダー』は、とんねるずのコントのなかでも屈指の人気を誇った。木梨憲武さんが歌っていたクセの強いテーマソング(『仮面ノリダーぶっとばすぞのテーマ』)は、当時のファンなら今でも歌えるのではないだろうか。

 今回はそんな『仮面ノリダー』がどのような番組だったのか、どんなヒーローだったのか、その演出とともに振り返ってみたい。

■究極のパロディ!?『仮面ノリダー』はここがすごかった

 『仮面ノリダー』のあらすじはこうだ。

 主役である木梨憲武さん(ノリさん)は、悪の秘密結社ジョッカーによって改造人間・仮面ノリダーにされてしまう。しかしノリさんはジョッカーから脱出し、世界の平和と愛するマリナさん(渡辺満里奈さん)を守るため、ジョッカーが毎回送り込む怪人「◯◯男」(タカさんこと石橋貴明さん)と、毎回戦う。

 本作は、名前からも分かるように、いつの時代も大人気の『仮面ライダー』をベースにしたパロディコントである。そのため通常のヒーロー、特撮ドラマとは異なり、物語の随所に細かなネタが散りばめられていた。

 たとえば仮面ノリダーと「プードル男」が戦うシーンでは、急遽ギャラリーがいる場に登場して大騒ぎになっている。さらに主要技であるノリダーキックが、標的のプードル男ではなく、一般客に炸裂するという、予測不能な展開が繰り広げられた。この“その場のノリ”で展開される自由奔放な演出は、視聴者に強烈な印象を与えることとなる。

 しかし『仮面ノリダー』は単なるお笑いのためのパロディではない。元祖『仮面ライダー』への深いリスペクトが作品全体に流れているのも注目だ。

 衣装の細部へのこだわり、変身シーンのダイナミックさ、そして戦闘中の爆破演出にいたるまで、本家さながらのクオリティで制作されている。その豪華さは当時の視聴者を驚かせ、社会現象となるほどの人気を博したのだ。

■タカさん演じる「◯◯男」も見どころ、一歩間違えたら危ない迫力のある爆破シーン

 ノリさんが仮面ノリダーを演じる一方、相方のタカさんはほぼ毎週「◯◯男」という敵役の怪人役を担当していた。例を挙げると、「カルガモ男」、「デューティーフリー男」、「おひな様男」などなど、とにかくバラエティに富んでいる。

 番組が放送されたのは1988年から90年。当時の着ぐるみ衣装は現在のように軽量化や柔軟性は進んでいなかっただろう。

 それもあってか、着ぐるみでの戦闘シーンではタカさんが息を切らしながら動いている場面も散見される。こうした状況から、当時タカさん本人が“日本一のぬいぐるみ師”と自称していたのもうなずける話である。

 さらに、戦闘シーンでは爆破を駆使した迫力ある演出も見どころだった。当時はまだCG技術が発展しておらず、本作では採石場などのロケ地で実際に爆破を行っていたようだ。

 とくに最終回「恐怖キング・ジョッカー男 さらばノリダーの巻II」では、そのスケールが段違いに凄かった。

 ノリダーがバイクで崖を駆け下りる場面では派手な爆破が仕掛けられており、一歩間違えば危ないと感じる爆風を全身で受けていた。その後、タカさん率いる悪の軍団も登場するが、爆風の熱さに思わず「アッチアッチ」と叫ぶ場面もあり、非常にシュールだ。

 また、クライマックスではチビノリダーの“ロケット爆弾”による爆発演出や、キング・ジョッカー男を道連れに宇宙へ飛び立つノリダーの姿が登場する。

 このシーンでは火花を散らしながら空中を舞う様子が壮観であり、ワイヤーで吊り上げられているとはいえ、数十メートルの高さで火花を放つ演出は圧巻だった。

 本作は、コントの枠を超えた本格的な演出が盛り込まれているのも見どころだった。

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