漫画『ONE PIECE(ワンピース)』を象徴する要素といえば、やはり「悪魔の実」の存在だろう。その実を一口食べれば超人的な力を授かる一方で、確実にカナヅチ(泳げない体)になるというデメリットを抱える。
しかし、多種多様な能力者の中には、この弱点をある程度、またはほぼ完全に打ち消してしまう者まで存在する。
そこで今回は、悪魔の実を食べながらも「海が弱点」とはならなそうな、規格外の能力者たちをみていこう。
■海を凍らせたらデメリット関係なし!?
海が弱点ではない能力者と聞いて、多くの読者が真っ先に思い浮かべる人物は“青キジ”こと「クザン」ではないだろうか。
かつて海軍本部大将の肩書を持っていた人物で、現在は明確な理由こそ不明ながら、黒ひげ海賊団の十番船船長を務めている。
自然(ロギア)系「ヒエヒエの実」の能力を有する“氷結人間”で、すさまじい冷気を放出して、ありとあらゆるものを凍らせることができる。海軍大将にまでのぼりつめただけあって、見渡すかぎりの海を一瞬にして氷漬けにするほどの圧巻の能力を持っている。
すなわち彼は、能力者にとって最大の弱点である海を自らの能力によって凍らせ、間接的にカナヅチという弱点を打ち消すことができるのだ。
実際、白ひげ海賊団との頂上戦争勃発時には、白ひげが「グラグラの実」の能力によって起こした巨大津波を凍りつかせ、戦闘中に海に落ちかけたときは湾内の海水を氷漬けにして対処していた。
自然系能力者といえば、「モクモクの実」の能力者であり、クザンの友人でもある「白猟のスモーカー」、アラバスタ乗っ取りを計画した「スナスナの実」の能力者「クロコダイル」らが青キジよりも先に登場したが、海対策まで披露した能力者は彼が初めてだった。
能力者の天敵ともいえる海さえ、能力で凍らせて自転車で移動する場所に変えてしまう青キジにとって、海はさほど警戒すべき弱点ではないのかもしれない。
■海に落ちても溺死しない能力者
カイドウ率いる「百獣海賊団」には、“災害”と称される3人の最高幹部がいる。火災のキング、疫災のクイーン、そして旱害(かんがい)の「ジャック」だ。
彼は「ゾウゾウの実 古代種モデル“マンモス”」の能力者で、巨大なマンモスに変身できる能力を有する。人の姿でもカイドウすら超える巨漢だったが、変身時はさらに巨大化し、そのまま巨体を活かした物理攻撃を得意とする。
動物(ゾオン)系古代種らしくケタ違いのタフさを誇り、5日間ものあいだ昼夜を問わずに戦闘を繰り広げ、必要とあらば毒ガスなどの兵器を使うこともためらわない非情さも兼ね備える。
海軍が移送するドフラミンゴの奪還を狙ったが、監獄船には現大将イッショウに加え“大参謀”つる、そして元元帥のセンゴクという国すら滅ぼせそうなメンバーがいた。さすがに敗れはしたものの、五体満足で生き残ったタフさはすさまじい。
そんなジャックは、超巨大なゾウ「象主(ズニーシャ)」が繰り出した鼻の一振りで船を粉々にされ、海中に落下。さしものジャックも退場したかに見えたが、驚くべきことに彼は海中で意識を取り戻す。
それもそのはず、ジャックは「タマカイ」の魚人であったため、水中でも呼吸が可能だったのである。
能力者ゆえに海中で身動きはとれなかったが、海の底で意識を保ったまま死なずにいたのは魚人族ならでは。魚人の能力者といえば、魚人島編に登場したバンダー・デッケン九世がいるものの、海中での活躍シーンは描かれていない。よって、魚人の能力者が海に適応する場面が描かれたのは、ジャックが初となる。