ある特定の条件をゲーム内で満たすことで、突如、プレイヤーたちの前に姿を現す「隠しキャラクター」たち。とくに格闘ゲームの隠しキャラたちは、普段の敵とは一線を画す高い実力でプレイヤーたちを跳ね返し、度肝を抜いてしまうケースも珍しくはなかった。
登場させるために一苦労し、叩きのめされたことで涙した、格ゲーの「隠しキャラ」たちを振り返っていこう。
■隙を見せない若き“極限流空手”の使い手…『餓狼伝説スペシャル』リョウ・サカザキ
数々の名作格闘ゲームを世に送り出しているSNK。なかでも、とある“隠しキャラ”の存在が有名な作品といえば、1993年にアーケード版が稼働し、翌1994年にはスーパーファミコン版がタカラから発売された『餓狼伝説スペシャル』だろう。
実は本作には同社が手掛ける別作品のキャラクターが、隠しキャラとして参戦している。そのキャラとは、『龍虎の拳』の主人公である“極限流空手”の使い手、リョウ・サカザキだ。
今でこそ他作品のゲームキャラが作品をまたいで登場するのは珍しいことではないが、当時はこういったケースにあまり前例がなく、ファンたちを大いに驚かせることとなった。
その登場条件だが、CPU戦を“全試合無敗”で進み、クラウザーを撃破する……というもの。条件を満たすと画面に「挑戦者 現る!」の文字が表示され、リョウが登場するのだ。
『龍虎の拳』のファンだった筆者は当時この出現条件を知り、リョウと手合わせするために意気揚々とCPU戦にチャレンジした。とはいえ、格ゲーの腕前はからっきしだったため、最後までノーミスで辿り着くだけでも一苦労であった。
そのぶん、リョウが登場したときの感動はひとしお。専用ステージやBGMもさることながら「覇王翔吼拳」や「龍虎乱舞」といったお馴染みの技が完全再現されていることにも興奮を抑えきれなかった。
だが、原作さながらの「龍虎乱舞」に沸き立った著者の興奮は、自キャラの残り体力とともに消し飛ばされてしまう。倒れ動かなくなった哀しき姿に絶望したことを、今でもありありと覚えている。
いずれにせよ、再現度の高さ、主人公に恥じぬ凄まじい実力など、シリーズファンも納得の隠しキャラだったといえるだろう。
■強すぎて試合では御法度!? 『スーパーストリートファイターIIX』豪鬼
日本を代表する格闘ゲームといえば、カプコンから発売されている『ストリートファイター』シリーズを語らないわけにはいかない。
なかでも1994年にアーケード版が稼働した『スーパーストリートファイターIIX』では、とある“隠しキャラ”がその圧倒的強さでファンたちを騒然とさせることとなる。それが、謎多き格闘家・豪鬼だ。
赤い髪に浅黒い肌、黒い胴着が特徴の豪鬼だが、ベガステージまでに「残りタイムの合計が1500以下」、「スコアが120万以上」、「対人戦で12連勝以上した後、勝利メッセージ表示中にいずれかの攻撃ボタンを2秒以上押す」のいずれかを達成すると、姿を現す。
それも、最終ステージとなるベガとのバトルが始まる直前、なんとラスボスであるはずのベガを見えない連撃で倒し、その代わりにプレイヤーに立ちはだかるのだ。
満を持して登場する豪鬼だが、その性能は凶悪の一言に尽きる。モーションや技こそリュウやケンに似ているものの、出が早くダウン性能のある飛び道具や、高威力かつ多段ヒットの必殺技を有しており、作中随一の高火力で容赦なくプレイヤーに襲い掛かってくる。
当時プレイしていた筆者もなんとか彼と出会うことこそできたものの、その性能の前に手も足も出ず、かすり傷を負わせた程度であえなく敗北してしまうことに……。
ちなみにこの豪鬼は隠しコマンドによって使用することもできるのだが、あまりにも高性能であったため、当時の大会などでも使用禁止となるなど、数々の逸話を残したキャラクターでもある。
のちのシリーズではレギュラーキャラクターとして登場し、今やすっかりおなじみの存在となった豪鬼。そのデビューは、まさに強烈だったのだ。