みなさんは1980年代に一世風靡したアクションドラマ『スケバン刑事』をご存じだろうか。本作は1975年から82年にかけて『花とゆめ』(白泉社)で連載された、和田慎二さんによる漫画が原作のドラマである。
スケバン刑事の主人公・麻宮サキは、まだ高校生にもかかわらず“学生刑事”に任命され、悪の組織に立ち向かっていく孤独な少女だ。
本ドラマは1985年に放送されるやいなや大反響を呼び、最終的には4代目まで続いた人気シリーズである。ここではそんなスケバン刑事がどのような作品だったのか、主演を務めた女優たちの活躍とともに振り返ってみたい。
■ヨーヨーが社会現象に…初代スケバン刑事は斉藤由貴さん!
1985年放送の初代スケバン刑事・麻宮サキとして一世を風靡したのが、斉藤由貴さんだ。
もともと原作漫画の主人公・麻宮サキは、長い髪を下のほうでまとめてなびかせたヘアスタイルが特徴だ。しかし斉藤さん演じるサキは頭の高い位置でポニーテールを結っており、まだあどけない斉藤さんの表情をキリッとさせるヘアスタイルでとても似合っていた。
初代『スケバン刑事』のあらすじはこうだ。サキの父であり、敏腕ジャーナリストの俊也は、敵の黒幕である海槌剛三の悪事を暴こうとして殺されてしまう。また母親のナツはその夫殺しの濡れ衣を着せられ、死刑囚にされてしまうのだ。
サキは母親の死刑を無期延期にすることを条件に、暗闇機関のエージェントである神恭一郎の特命によりスケバン刑事となり悪を退治していく。
斉藤さん演じるサキの攻撃は、重合金が仕込んであるヨーヨーだ。そこには警視庁の証でもある桜の代紋が入っており、敵と対決する際にはその代紋を見せ「てめえら、許さねえ!」と言ってバトルが始まるのがお決まりだった。
ちなみに当時小学生だった筆者は、このヨーヨーを持っていた。側面カバーを開くと桜の代紋がバンっと現われるあの嬉しさ。「許さねえ!」と言いながら空き缶などに向かってヨーヨーを投げつけるなど、よくスケバン刑事ごっこをしたものである。
最終的に初代サキは海槌剛三の長女・麗巳との戦いにより消息不明となる。悪を気持ちよく成敗して終わると思いきや、これからどうなるの……!?という展開にドキドキしたのを思い出す。
■過去の設定が衝撃的だった2代目スケバン刑事・南野陽子さん
2代目スケバン刑事を演じたのは、南野陽子さんだ。本作は1985年から86年にかけて放送された『スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説』で、南野さん演じる主人公・五代陽子は幼少期からまるで中世の甲冑のような「鉄仮面」を付けて育てられてきたという、異色の設定であった。土佐で育った彼女の決めゼリフは「おまんら、許さんぜよ!」である。
本作では2代目スケバン刑事の陽子以外にも、心強い同級生2人が登場する。それが吉沢秋絵さん演じる財閥の令嬢、矢島雪乃は古武道の達人であり、袱紗をおもな武器にして敵と戦う。また相楽ハル子(現:相楽晴子)さん演じる“ビー玉のお京”こと中村京子は、その名の通りビー玉を飛び道具として敵と対峙していくのであった。
2代目スケバン刑事である陽子も、先代と同じようにヨーヨーを使って悪の組織と対峙していく。しかし何よりインパクトがあったのが、鉄仮面を常に被せられて育った陽子の過去である。
当時視聴していた筆者は幼少期の陽子と同年代であり、鉄仮面を付けてランドセルを背負っている姿に“同い年くらいの女子なのにあんなに重いものを顔につけて登校するなんてかわいそう”、“シャンプーや洗顔はどうしているのだろう”と、単純に心配していた。
『スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説』は、ストーリーが進むにつれ陽子の出生の謎や鉄仮面に隠された重大な秘密なども明かされていく。荒唐無稽な設定かと思いきや、見始めるとどんどん沼にハマるような面白さがあった。