NHKの教育番組は1959年からはじまり、2024年の今年、65周年を迎えた。これまで数々の教育番組が放送されてきた本番組を子どものころに見てきて、今は我が子と一緒に楽しんでいる親世代も多いのではないだろうか。
ところでそんな教育番組には、思いがけないハプニングが起こり世間を騒がせることもある。今回はそんなEテレの子ども向け番組で起きた、伝説とも言われるハプニングを3つ紹介しよう。
■歌のお姉さんが描いた衝撃ホラー!? はいだしょうこさんの絵描き歌事件
まずは“スプーのえかきうた事件”とも呼ばれる、有名なハプニングを紹介したい。こちらは、1959年から放送が始まった教育番組『おかあさんといっしょ』で起きた。
今回紹介するのは、2006年に放送された回でのこと。当時、歌のお姉さんを務めていたのははいだしょうこさん。歌のお兄さんである今井ゆうぞうさんとともに、視聴者からの絵描き歌を描いてほしいというリクエストに応えるコーナーが進行していく。
はいださんが「今日は“スプーのえかきうた”を歌いましょう!」と言うのだが、この時点で今井さんはちょっと笑いをこらえており、はいださんの絵に何かを感じ取っていることが伺える。
ちなみにスプーとは、当時『おかあさんといっしょ』のコーナーにあった人形劇『ぐ〜チョコランタン』に登場するキャラクターだ。架空の動物ではあるものの、大きな口に耳に羽が生えているビジュアルで、子どもでも描ける“絵描き歌”があるくらいだからそれほど描くのに難しいキャラクターではないように思う。
その後、ほっこりした可愛い歌を歌いながら絵を描いていく今井さんとはいださん。しかし歌が進むにつれ、カメラマンは何かを察知したのか、今井さんの絵柄を中心に撮影していく。
歌い終わった2人の絵を見ると、今井さんの絵はスプーそのものだが、はいださんの描いたスプーはまるでハロウィンのおばけのような衝撃的なビジュアルだったのだ。最終的に今井さんは「しょうこおねえさんのほう、上手ですねえ……画伯……!」と言いながら、ついに吹き出してしまった。
スプーを描いたはずが、まるで地球外生命体のような物を描いてしまったはいださん。この出来事は当時大きな話題を呼び、はいださんは独特な絵を描くうたのおねえさんとしても有名になった。
■撮り直しをしなかったのもスゴイ…ニャンちゅう卵ぶちまけ事件
“ニャンちゅう卵ぶちまけ事件”は、自慢料理を披露したおねえさんが盛大に生卵をこぼしてしまったハプニングである。
このニャンちゅうとはネズミの着ぐるみを着た猫キャラで、1992年の『母と子のテレビタイム・土曜版』に登場して以来、リクエスト放送などを紹介するキャラクターとして活躍してきた。現在も『ニャンちゅう!宇宙!放送チュー!』で活躍中である。
事件は2000年に放送された『あつまれ!わんパーク』で起きる。当時、笹峯愛さん演じる“あいお姉さん”は、ニャンちゅうに対し“今日は私の得意料理を披露する”と言ってごはんと生卵を持って来る。
その後、片手で卵を上手に割り、手際よく菜箸で溶いていくお姉さん。そしてご飯茶碗の上にその溶き卵をかけるのだが、なんと卵の半分くらいが茶碗からドロリとこぼれてしまうのだ。
それを見て「こ、これはひどいー!!」と、大声で叫ぶニャンちゅう。お姉さんは苦笑しつつこぼれた生卵を拭き取るものの、ふきんにも菜箸にも卵がベッタリついており、もはやスタジオはパニック。それを見てニャンちゅうは「先生、めちゃくちゃですよこれ…グロくなってしまった…」とつぶやく。
最後は多めにお醤油をかけ「たまごぶっかけご飯」が完成する。“ええーッ本当にこれで良いの!?”と叫ぶニャンちゅうに対し、“まあ完璧すぎても何ですから。これくらいのご愛敬があったほうが良いかな……”と、シレっとまとめるおねえさん。
生卵のほとんどを台にぶちまけるという失敗がありながら、撮り直しをせずそのまま放送をしたNHKも凄いと思ってしまう出来事であった。