■音痴改善の「秘密兵器」登場!

 その後、レッスンは実践的な内容に入っていく。そして「初級編」として教えてくれたのが、喉のストレッチをしながら、ピッチ(音の高さ)を合わせるということ。

「ピッチ」とかいう音痴には無縁の言葉。昔、友達に「なんで住岡は、どの曲でも1オクターブ下で歌うの?」と刺されたことを思い出した。つまり苦手意識バリバリ。

 ピッチを合わせながら、良い音を出す準備をするために、ある道具を使うのが良い……と、先生が差し出したのは、ストローが刺さったペットボトル。半分ほど水が入っている。

よーこてんてー「ストローをくわえて、『ウー』と発声しながら水を泡立ててみてください。その時に鼻から息が抜けないように気を付けて」

 言われた通り、声を出しながら息を吹き込み、ブクブクと泡立ててみる。鼻から息を吐き出さないようにするのが難しい。これが喉のストレッチになるのだそう。

ストローをくわえて「声」を注ぎ込むイメージ

 ストローを使って息を吹き込むように音を出すことで、普段喉を使い慣れていない人でも喉を傷めず、声量を出しながら音を合わせる練習ができるという。先生いわく、私の声量のなさやピッチの不安定さは「『息を吐き切れていない』というところにありそう」とのこと。それを改善するのが、この「ペットボトルストロー」なのだ。

 仰るとおり、住岡は大きな声を出すことが苦手だ。しかし、ペットボトルストローを通すと、不思議と声が出しやすい。また、水泡の多少で適切な息の量も分かるという優れもので、自分がどれだけ息を吐けているか、視覚的に分かりやすいのもよかった。

 自分に水しぶきがかかってしまうようだと息が多すぎ、水泡が小さすぎたら息が少なすぎ……というように判断するらしく、パワーの調節がしやすい。なにより、大きい声を人前で出すのには若干抵抗があるが、道具を使うことでハードルが下がる気がする。

よーこてんてー「このまま自分が出せる一番低い音を出してみてください」

住岡「ヴー!!!」

よーこてんてー「では次に一番高い音を出してみてください」

住岡「ウーー!!」

 こんな感じで先生に音を教えてもらいながら練習していく。大人になって「ウー!」と叫ぶのは楽しすぎた。夢中で恐らく10分くらいやっていると、喉がほぐれた感覚が出てきた。歌うときに喉が締まる感覚があったのだが、それが解消されたのだ。

 さらに嬉しいことに、『紅蓮華』の最も高い音(G5)から最も低い音(E3)までの音域を、なんとか水の中だと出せるようになっていたらしい。もちろん「単音だけ&水の中に限る」という状況だが、「自分の喉から望む音が出る」ということだけで感動してしまう……。さっきは難しかった「歌えている姿」もいまなら想像できそう。よーこてんてー、すごい!

 この方法なら大声が響かないから、家でも一人で練習できそう。あと普通にストレス発散にもよさげ。

よーこてんてー「アニソンや最近のJ-POPは、ジェットコースターのような音程の曲が多いですよね。とにかく緩急が激しいので、こうやって音を合わせる練習をしていくと、だんだんと歌えるようになっていきますよ」

 喉がほぐれたところで、今度は「中級編」に突入。はたして音痴のアニオタはどれだけLiSA様に近づくことができるのか!? 【第2回につづく】

 

よーこてんてー
ボイストレーナー歴約13年。これまでにのべ15000人以上の声を聴き、ボイストレーニングを提供。現在も月に約100名の受講生を抱え、近年ではアーティスト・声優・VTuberを中心に出張ボイストレーニングやライブ帯同など幅広い現場で活躍中。アニソンに特化した専門性と、科学的アプローチを組み合わせた指導により、多くの受講生やプロフェッショナルから信頼を得ている。

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