2023年12月1日に『ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅』(スクウェア・エニックス)が発売され、1周年を迎えた。本作は『ドラゴンクエストモンスターズ』シリーズの正式なナンバリング作品として22年ぶりに発売されたほか、『ドラゴンクエスト4』に登場したピサロが主人公ということで大きな話題を呼んだ。
筆者は『ドラクエ4』の過去ストーリーが展開されるのかと想像していたが、実際は本編のアナザーストーリーが軸になっており、こちらもかなり興味深い内容だった。
そのなかで明らかになった、『ドラクエ4』のあのシーンは「実はこうだった!」という、もうひとつのストーリーがピサロ視点で描かれた『モンスターズ3』について振り返っていきたい。
※本記事は『ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅』のネタバレを含みます。
■衝撃! 『ドラクエ4』の勇者とピサロに直接的な因縁はなかった!?
本作をプレイしてもっとも衝撃だったのが、『ドラクエ4』の勇者とピサロの因縁関係について。『ドラクエ4』の第5章は、勇者が暮らしていた村がデスピサロの率いる軍勢に滅ぼされ、幼なじみのシンシアも殺されるという衝撃の展開から冒険が始まる。仇討ちを胸に秘め、魔族の王であるピサロを倒し、世界を救うという王道のストーリーだ。
しかし、『モンスターズ3』のほうでは、この悲劇にまつわる異なる真相が描かれている。勇者の村が壊滅させられる展開は変わらないのだが、村を襲った犯人はピサロではないのだ。
真犯人はピサロの兄である暴将ディオロス。彼が「デスピサロ」を名乗り、勇者のいた村を滅ぼした。つまり、勇者は暴将ディオロスの策にまんまとはまってしまったかたちとなる。もしも、本編のほうもこの展開だったなら、その後のストーリーはかなり違ったものになっていたかもしれない。
なお、本作では勇者とピサロが会話をするシーンがあるのだが、この村壊滅の真実については言及されていない。ここで誤解を解き、ふたりが争わなくてすむ世界線があったら……と思ってしまった。
■マスタードラゴンとピサロに接点が!
『ドラクエ』の天空シリーズといえば、マスタードラゴンの存在がストーリーの根幹にある。マスタードラゴンは世界を見守る竜の神で、基本的に天空城の主として天空人と暮らしている。
一部のファンからは「高みの見物を決め込むマスタードラゴンこそが元凶なのでは?」などと言われていたが、本作ではマスタードラゴンの“ある行動”に驚かされることになる。
『ドラクエ4』ではマスタードラゴンとピサロに直接的な接点はなく、「勇者に魔族の王・デスピサロを討伐してほしい」というマスタードラゴンの姿勢は一貫していた。当時のプレイヤー目線からは「どうしてマスタードラゴンは手伝ってくれないんだろう」と思ったのを覚えている。
本作にもマスタードラゴンは存在するのだが、こちらでは大きな事態に発展する前にピサロと接触していた。ピサロが悲劇を起こさないように(『ドラクエ4』のような末路をたどらないように)助言をするのだが、結局のところあまり役に立っていない印象である。
結果的に『モンスターズ3』は本編のエンディングとは異なるラストを迎えるのだが、マスタードラゴンがもう少し本腰を入れて真摯に行動できていれば、もっと違う結果になっていたと個人的には思う次第だ。