■視聴者を最後まで魅了する演出がスゴイ!
「謎の原始猿人バーゴン」の続きに戻ろう。
その後もジャングルを進む探検隊。洞窟内で突然崩れ落ちてくる岩や、登ろうとした崖の上に大蛇が待ち構えているなど、次々とハプニングが起きる。極めつけは探検隊の最後を歩いていた人が罠にかかり、何者かの策略により空中に吊るされてしまうのだ。
最終的に探検隊は、秘境の川でワニと格闘する猿人バーゴンを発見する。探検隊たちはバーゴンを確保して無理やりヘリコプターに乗せ、研究室へと連れて行くのであった。
大人になった今振り返ってみると、確かに当時の父が半信半疑になっていたのもうなずける。次々と起こるドラマがデキすぎているからだ。
たとえば岩が崩れ落ちるシーンでは、岩のアップと、それに格闘する川口さんの様子が交互に映し出されており、ドキュメンタリー作品ではあり得ないほど細かなアングルで撮影されている。
しかし、それが本当であってもそうでなかったとしても、当時の子どもたちを夢中にさせたことは事実だ。謎の生命体を追う動画は、現在でもYouTubeなどで数多く存在するが、『川口浩探検隊』ほどのドキドキ感は味わえないように思う。
この番組は、「もしかしたら、こんな生物がいるのかな……?」「こんな場所があるのかも……?」という希望や疑問を視聴者に抱かせた。そして、それが将来冒険家になりたい、あるいは謎の生物を解明する科学者になりたいという夢や希望を育んだとも言えるだろう。
『川口浩探検隊』は、ただのエンターテインメントではなく、子どもたちの想像力を刺激し、夢を描かせる特別な番組だったように思う。
一部では“ヤラセ”とも揶揄された『川口浩探検隊』。しかし当時の子どもたちに絶大に支持され、インパクトを与えたことは確かである。
また印象に残るオープニングタイトル、不安と好奇心を煽る巧みなナレーション、つい目が離せなくなるような番組展開は、今の人気テレビ番組やYouTube動画にも通じるものがある。
そうした点を考えると『川口浩探検隊』は現代のエンターテインメントの先駆け的存在であり、その影響力は今なお語り継がれるべきものだろう。なお、『川口浩探検シリーズ』は、現在でも「TELASA」などの動画配信サービスで見ることができる。