
2024年に最新アニメ『BLEACH 千年血戦篇-相剋譚-』も放送され、いまだにファンを楽しませている『BLEACH』。本作はカッコよすぎる戦闘シーンやワードセンス、驚きの伏線回収など、魅力を挙げればキリがない。
もちろん個性的なキャラたちも、大きな魅力だろう。しかし、壮大なストーリーの中で死亡してしまうキャラも出ており、特に人気の高いキャラの退場には衝撃を受けた。そこで今回は、思わず「生きててほしかった…」と願ってしまったキャラたちの哀しき最期をまとめていこう。
※以下、本文中に『BLEACH』最終回までのネタバレを含みます。
■裏切り者の汚名をもいとわなかった市丸ギン
市丸ギンは死んでほしくなかったキャラの筆頭格だといえるだろう。彼は元護廷十三隊三番隊隊長であり、元護廷十三隊五番隊隊長・藍染惣右介の裏切りの際ともに離反した隊長の一人だった。その性格はつかみどころがなく、飄々として余裕を崩さないところが不気味である。
しかし、裏切者だと思われていたギンは、実は藍染を殺すために護廷十三隊に入隊し、彼に近付いていた。
その理由は過去にさかのぼる。幼少期、幼なじみだった松本乱菊が魂魄を奪われる事件が起きた。ギンはその主犯格が藍染だと知ると、「こいつや こいつが親玉や」と彼の危険性をいち早く察知。やがて護廷十三隊に入隊して隊長にまでのぼりつめ、彼の計画を潰すために裏切ったふりをしていたのだ。
最後は崩玉と融合した藍染に一太刀を浴びせたが、すでに死神の域を超えた強さを手に入れた藍染は即座に回復。ギンはあっさりと殺されてしまう。絶命の瞬間、修業を終え成長した一護を見て「強い眼になった 良かった 今のキミになら 任せて 殂ける」と心のうちで語るシーンは、あまりにも悲しすぎた。
ギンといえば、乱菊との関係性は欠かせない。幼なじみでそれぞれ隊長、副隊長にまで出世した二人だが、ギンは「裏切り者」になり、乱菊は大きな動揺を見せていた。それもすべては乱菊を傷つけた者への復讐だったという真相も衝撃的だ。
「死神になって変えたる 乱菊が 泣かんでも済むようにしたる」という誓いを子どもの頃に立て、最後まで漢気を貫き通す姿は、ギンのイメージを一変させるほどかっこよかった。
離反する時「ご免な」と乱菊に伝える表情を見ると、哀しみと優しさが入り混じったようなギンのキャラクター性がよく分かる。実は誰よりも優しく思慮深く、実力もトップクラスだったギン。乱菊との関係性も含めて、まだまだ見たかったキャラだったのは間違いない。
■マユリの最高傑作となった涅ネム
「千年血戦篇」の終盤で死亡というまさかの展開を迎えたのは、十二番隊副隊長・涅ネムだ。ネムは死神の中では特異な存在だった。十二番隊副隊長・涅マユリの義骸技術および義魂技術を用いて作り出された人造死神であり、マユリの娘として扱われている。
副隊長である彼女は戦闘力も高く、その可憐な見た目に反してかなりの怪力だ。さらに体が壊れてもすぐに修復できるという、義骸ならではの利点も持っていた。
しかし、滅却師ペルニダ・パルンカジャスとの戦いでネムは、マユリをかばって想定外のダメージを負ってしまう。この時のマユリの動揺は、彼女の製造過程が理由だった。
実は彼女はマユリが7番目にしてようやく完成させた、「眠(ねむり)計画」の成功例である。正式名称は「眠七號」であり、失敗を重ねて作り上げたことからマユリにとって「替えの効かない存在」になっていた。だからこそネムが戦いに参加したとき、その口から「“次のお前”を“今のお前”と同じに育てるのに どれ程の負担が私にかかるかお前に解るのかネ?」と感情的とも思えるセリフが出てきたのだ。
結果的にネムは自分の身を賭してぺニルダを倒し、マユリは肉片と化した彼女を前に「馬鹿な ネム ネム」と、絶望したように心の中でつぶやく。それと同時にネムが命令や想定を大きく超えた行動を見せたことで、進化する魂魄を作り上げたという事実をマユリは悟った。戦いが終わると「進化だ………!」と歓喜し、「私はお前を超えたぞ…!浦原喜助………‼」と唯一取り返せたネムの大脳とともに眠りにつく。一見不気味に思えるのに、不思議と心が温まるシーンだった。
ネムは美人の死神としても人気が高く、当初は無表情がデフォルトだったが終盤にかけては感情を見せるようになっていった。これからもどんどん魅力的になっていくと思われただけに、死んでしまったのは残念過ぎる。
しかし、嬉しいことに685話では「眠八號」というネムの大脳から作られた新たな義骸が生まれている。ネムとは打って変わって、声が大きくハキハキと話す少女なのだが、ネムの進化を受け継いでいる。マユリが「全くお前は… どうしてこうなってしまったのかネ…」と呆れながらも彼女とともに歩いていく場面には、どこか幸せを感じほっこりとさせられた。