■自らを犠牲にして世界を救った浮竹十四郎

 癖の強いキャラが多い護廷十三隊だが、その中でわりと常識人的な立ち位置だったのが十三番隊隊長の浮竹十四郎だ。浮竹は朽木ルキア直属の上官で、名家の養子という特殊な立場で苦労していたルキアをサポートしてくれた良き理解者だった。

 彼は病弱で、そのせいで任務にも出られない時があるほどいつも体調が悪い。その一方でルキアが処刑されそうになったときには、親友の京楽春水とともに命がけで山本元柳斎重國総隊長と戦うなど、部下思いの隊長としても知られている。

 その不調の理由については、「千年血戦篇」にて明かされた。実は幼少期、彼は重い肺病にかかり、それを憂いた両親が霊王の右腕「ミミハギ様」に彼の肺を捧げるという特殊な儀式をおこなった。そのおかげで浮竹は後に隊長になれるまでに回復し、霊圧に至っては他の隊長格の中でも群を抜くほどのモノだった。

 しかし、ユーハバッハの瀞霊廷侵攻の際、彼はひそかに覚悟を決めていた。そして、霊王が殺されると自身の肺にある「ミミハギ様」を解放するのだった。彼は「俺が霊王の身代わりになろう」と宣言すると、「神掛」という浦原すらも知らない方法で霊王の代わりになる離れ業を見せる。

 そのおかげで崩壊しかけた世界は安定し、一護たちと死神たちが反撃できる時間を作れた。そういう意味で浮竹は、この戦いの最大の功労者と言っても過言ではない。

 戦いが終わり日常が戻ってくると、京楽が浮竹の墓に語りかける様子が描かれ、彼の死が明らかになる。「それじゃ また来るよ 浮竹」と親友の墓に語りかける京楽の姿は、どこか寂しげで切なかった。

 一護やルキアの理解者としても浮竹の存在は大きかっただけに、明確な死亡シーンすらなかったのは衝撃だった……。

 

『BLEACH』では、完全に死んでしまうキャラクターは少ない。瀕死の状態でも、霊力が戻れば復活するケースが意外に多いからだ。だからこそギンや浮竹のように、命を落として復活することのなかったキャラは、強く印象に残っている。

 ギンや浮竹、ネムの存在はストーリー上でも大きな意味を持つので、彼らに改めて注目してみると、作品をより深く楽しめるかもしれない。

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